三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

2019年09月

おはようございます
まずはスピードマスタートリカレ
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かなり湿気の影響が見られます。
錆の影響はありませんが部品を磨く作業が加わるのでちょっと手間がかかりそうです。
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角穴車の下、一番芯ウケに黒い摩耗痕がありますね。
痕のほうからタガネを使って穴を詰めていきます。こうして分かりやすく摩耗の痕があると補正も楽ですね。
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組み上げて振角280度超、歩度、自動巻き動作ともに良好です。
もうしばらくランニングテストしてお客様に連絡予定です。

セイコーのクオーツ2本
4J
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4N
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4Jは嫌いだった8Jのレディース版の機械です。
とにかく部品の立て付けが悪い…本来なら2本のポストで部品を支えるところを1本で支えることで不安定な部品をさらに重ねて配置するので、組むにはちょっとコツが要ります。
機械は湿気の影響と油切れの症状が見られました。洗浄して組み上げて0.6μA程度。

4N、そこまで高級なムーブメントでもないですがそろそろムーブ一式だと手配できなくなっていると思います。
中はプラスチック製の部品がちょこちょこあるので取り扱いには注意が必要です。
一般的なクオーツとほぼ構造は同じですが、日の裏の軸に直接三番車のホゾが入る面白い構造になっています。
ここの油切れによる部品の固着が不具合の原因でした。
洗浄して組み上げて0.8μA、三針ならこんなものだと思います。2本ともしばらくランニングテストしていきます。

つぎ!チュードルデイトデイ(ETA2824ベース)
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OHは6年前、定期的なメンテナンスでお預かりです。油もまだある状態で部品の磨耗はほぼない状態でした。
2824は92と比べると部品も丈夫な印象があります。
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曜日ディスクが中途半端な位置で止まってします(半目)になってしまうことを確認済み。
ディスクのゆがみなどがないので、位置決めのバネの強弱で調整していきます。バネを強めに調整して改善しました。
あとはデイトジャストを司る部品の油切れも原因の一つになっていると思います。
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組み上げて振角300度超、歩度は+10秒程度で調整中。

残った時間で先日施工の時計たちの調整をしました。2892ベースのFMはゼンマイがほどけるにつれ歩度がマイナスへ触れる具合が急すぎたのでヒゲの調整を行いました。
あとは手巻きのIWC、あれもゼンマイが弱すぎる気がしたので取り出しました。
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へっろへろ笑
幸い純正が手配できたので交換して調整中。平置き絡めればまずまず良い精度が出てくれています。
あとは細かなムーブ交換などちょこ仕事をおえて今週は終業です。

夏の間動きがあまりなかったアンティーク時計も、秋を迎えてガンガン売れるようになりしばらくはそっちの仕入れと仕上げで忙しくなりそうです。
それではまた休み明け月曜日に!

こんばんは
まずはグランドセイコーGMT(9S66A)から
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写真だと色味が伝わりづらいですがキレイな青紫色です。
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定期的なOHということでお預かりです。
以前も9SのGMTモデルはやったことありますが、その時はマジックレバー式のオートマだった気がします。
今回のは切替車式ですね。

前回施工したものは、ツツカナ車のカシメの緩みから短針早送りが出来ない症状がでていましたが、このキャリバーではツツカナも少し重厚なものに変更され対策されているようでした。
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カレンダー、GMT系以外は先日の9S65とまったく一緒です。
組み上げて振角280度、歩度+3秒程度で調整中です。
稼働時間と自動巻きの動作確認を行っていきます。

つぎ!フランクミュラーオートマ(ETA2892)
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上のGSと同じお客様からお預かりです。
裏蓋のネジが固着していましたが無事回りました。
ネジやケースに痛みこそあるものの生活防水程度の防水は確保されていました。
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過去の施工傷などはあるものの部品自体に痛みはなかったのでよかったです。
洗浄して組み上げて振角260度、歩度+8秒程度で調整中です。

つぎ!セイコーオートマダイバー(6306A)
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デイデイトつきのオートマです。
防水はまったく効いていない状態ですが、対策部品の入手ができないので非防水としてつかっていただくようになります。
内部は多少湿気の影響があり、錆等も見られましたが重要な可動部分には広がっておらず一安心。
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手巻きなしのセイコーオートマにありがちですが、一番芯上下の磨耗があり補正にちょっと時間がかかりました。
その他二番車にやや摩耗ありましたが幸い再利用可能なものでした。
組み上げて振角220度、稼働チェック中ですがまぁまぁボチボチ精度は狙えると思います。
+20秒くらいを目安に調整していきます。

休み明け木曜日はスピードマスターから施工していきます。
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内部の湿気の影響が見られますが幸い防水テストはクリアしていました。
外装研磨と洗浄は済んでいるので後は中を磨くだけです。
スピマスからセイコーのクオーツへ続く予定です、それではまた!

こんにちは、お休みやSDカードを会社に忘れたりで更新ができていませんでした。

まずはセイコーアルピニスト(4S15)から
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デイトつきの4Sです。パッキン交換とOHでお預かりです。
パッキンの交換で幸い200M防水はクリアしましたが少しケースに腐食が見られます。
一応注意したほうがよいかもしれません。

部品には大きなサビなどは見られずまずまずのコンディションでした。
まったくメンテナンスはしていないとのことでしたが、4S系は意外に部品の磨耗がでないのでOHのみで対応可能でした。
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くみ上げて振り角260程度、歩度もまずまず合格ラインかと思います。
しばらくランニングテストしつつ様子を見ていきます。

つぎ!エスカ手巻き(プゾー7001)
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ETAに吸収される前のプゾー社時代の7001ですね。輪列にも保油機構があり、かなりしっかりした造りです。
OHが13年前、ゼンマイ交換とOHでお預かりです。
7001は香箱の歯が細かいのでゼンマイ切れのショックでよく歯が欠けることがありますが、今回は大丈夫でした。
その他二番車が経年の磨耗が見られ、研磨によって対応してあります。
二針ですが歩度は全姿勢で+10秒を切っていて良好です。もうしばらくランニングテストしてみます。

ロンジン手巻き
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2、3年前のOHですが歩度が狂うということでOHのお預かりです。
輪列の油がかなり乾き気味だったので油切れが不調の原因と思います。
歯車のコンディションは往年のロンジンらしい重厚な造りでまったく磨耗も見られませんでした。
一番芯上部を詰めなおしてくみ上げて、振角300度程度、歩度もテスター数値ではまずまず良い感じです。
オシドリネジの調子がよくないのでもうちょっと手がかかりそうですが、精度自体はまず問題なさそうです。

休み前までの仕事はこんなかんじ、今日は色んな時計の調子をみつつ空いた時間でなにかやれればと思っています。
それではまた!

おはようございます。
昨日の70オートマはヒゲゼンマイの動きがあまり良くなかったので午前中いっぱい使って調整を行いました。
動きも戻りまずまず精度も出ています。+15秒くらいで動いてくれれば御の字です。

つぎはゼニスオートマ(2542PC)
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結構アンティーク市場の荒れがちなゼニスですが、これはなかなか素性がよさそうです。
エリート以前のオートマキャリバーです。
ツツカナ調整とOHでお預かりです。
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カレンダー回りはモロにエルプリメロですね。
この手のカレンダーは日付変更タイミングでかなり針送りが重くなるので、通常よりはツツカナを軽めに調整しておく必要があります。
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ヒゲゼンマイとツツカナの調整を行ってから分解しました。
機械自体は一番芯上部ウケの磨耗があるくらいでかなり良いコンディションでした。
丸穴車にベアリングが内蔵されていたり、重厚な造りの切替車など良い機械だと思います。

組み上げて振角270度程度、歩度は+10秒切る程度で調整中。
置きまわりが起きないか確認してからケーシング予定です。

つぎはIWC手巻き(cal402)
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OHでお預かり。
85系からオートマ系をまるっと取り除いたものなので部品点数自体はかなり少ないです。
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秒カナ抑え下の二番ウケの磨耗が顕著だったのでこちらは調整してあります。
バネが邪魔で調整しづらいので前回施工でスルーしてあるようで、ここだけ摩耗のレベルが違いました。
まぁ変な仕事されてバネが変形するよりかは良いですが…。

一番芯の上下アガキを作って洗浄注油して振角260度程度、時間もないので精度調整は休み明け木曜日に回します。

休み明けはサブマリーナから施工予定です、それではまた!

こんばんはー
まずは9Sグランドセイコーの続きをさくっと終わらせました。
振角270度、少しだけ姿勢差がありますがメーカー発表の精度は平で+5、縦(携行)で+10秒なんでその値の範囲には収まっているのでよしとしましょう。
針付けまで済ませてパッキン到着待ちです。

つぎ、キングセイコー(cal5625)
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ハイビートの56オートマになります。
揺動レバーはプラスチック製ですが、カレンダー早送りもしっかり機能しているのでOHのみで済みそうです。
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かなり良いコンディションでした。
マサツカナのカシメの調整と香箱アガキの調整のみ、中心軸の磨耗もほとんど見られず驚きました。
組み上げて振角240度、歩度∔5秒くらいで調整中。
56の5姿勢調整表記はマジで、ほとんど調整いらずで精度が良く出てくれます。
ロービートの56になると姿勢差でまくりなのでやっぱり最初の調整やテンプ厳選が重要なんですよねきっと。

つぎセイコーオートマ(cal7005A)
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セイコー70オートマ
諏訪の61に対しての70です。かなり合理的な設計でこの頃の設計がいまのオートマキャリバーにもちょくちょく流用されていたりします。
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さきほどのKSと同じ方からのお預かりです。
こちらもあんまりにも状態が良いんでこれまたびっくり
ケースのヤレ具合から結構手がかかるかと思いきや、一番芯上下の磨耗すらほぼなくて驚きでした。
特に調整なども必要なく、組み上げて振角270度程度出てくれています。
時間が押していたので精度調整は明日に回します。
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明日はゼニスの古いオートマあたりから施工予定です、それでは!

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