三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

2019年12月

おはようございます、昨日でウチは仕事納めでした。
2019年度中もご利用、ご愛顧ありがとうございました。来年度もよろしくお願いいたします。

今年最後の仕事はチュードルクロノでした
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ガラス交換とOHでお預かりでした。
ガラスが砕けて文字盤下まで入り込んでいる状態でしたので、文字盤含めてガラスを綺麗に除去してからのOHでした。
機械自体はまずまず良好なコンディションで、一番上下に軽い摩耗がある程度でした。
くみ上げて280度程度、歩度も安定していて状態です。年明けからまた調整していきます。


さて、今年もいろいろな機械を修理してきました。
タイミング的にはETA社の2020年問題を受け、各社が造った自社キャリバーがちょうどOH時期になりそれをよく修理させていただきました。
とはいえ蓋を開けてみるとリシュモングループ内はカルティエ初出の1847MCがベースキャリバーとなって各社が少しずつチューンしたものでしたし、チュードルやブライトリングやシャネルもサプライヤーがいてそことほぼ共通。

時計師的には楽ですけど、一時計好きとしてはちょっと残念ですよね。結局ほぼポン乗せかいみたいな…。IWCの新作スピットファイアは完全に買う気なくなっちゃいましたね。

閑話休題
ともあれかなり経験値が増えた年でもありました。結局この仕事はどれだけ経験、引き出しがあるかの勝負なので、新旧問わず色々な時計を持ってきてくださるお客様には本当に感謝です。
来年も変わらずご愛顧いただければ幸甚です。
それではまた来年4日にお会いしましょう、よいお年を。


おはようございます!!!
当店の年内営業日は29日までとなります。(営業開始は4日からです)
後2日、気合いれてがんばります!

ブログさぼっててすみませんでした、加工や微調整が多すぎて記事にならない内容ばかりでしたので…。

さて、まずはブライトロングクロノから
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17石の7750です、相当古いモデルですよねきっと
裏蓋パッキンの劣化から全体に錆粉が散っていますね、ついでにゼンマイも切れています。
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磨耗の調整と洗浄を行ってからエピラム処理を行います。
液が乾くまでの間にちょっとした仕事を…
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エルメスのレディースクオーツ、巻き芯と機械本体、巻き芯とチューブが錆でガッチガチに固まっている状態でした。
ムーブメント交換前提で巻き芯を削って折り、チューブ内の巻き芯をドリルで除去しました。
ムーブメント交換まで行って現在ランニングテスト中、文字盤に傷が付かなかったのが幸いでした。
巻き芯は当然リューズに折れ残っていますが、リューズパッキンが効いていないので新品の純正リューズと交換して防水を確認してあります。

ブライトリングはくみ上げて280度程度、精度もよく出てくれています。先日別でOHした7750は振りあたりしちゃって調整が面倒だったので今回は素直にいってくれてよかったです。

つぎ!スピードマスタープロフェッショナル手巻き
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ロジウムメッキのかけてある比較的新しいやつですね、9時位置のインダイヤルのところに宇宙飛行士の絵が描いてあります、アポロ11号何周年かの記念モデルでしょうかね、SPMは詳しくないのでよくわかりませんが…。
今回はゼンマイ交換とOHでお預かりです。
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例によって二番と、一番芯の受けに磨耗が出ているので調整しました。
10年前のOHでしたのでさすがに磨耗が激しく、二番車も研磨で対応しましたが次回は恐らく交換でしょう。現状だとレマニアの二番も2万円くらいしますねきっと。
ケースに収めてランニングテスト中です。

つぎ!スピードマスタープロフェッショナル手巻き
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赤銅メッキの機械ですが、これ実はかなり珍しいんですよ。
文字盤のspeedmasterのrの字が下に伸びている(下がりr)、裏スケの赤銅メッキなんです。
裏スケモデルを一般販売する前にごく少数だけ市場に流したレアモデルなんだとか(お客さんの受け売り)
機械が面取りしてあるので元から裏スケでリリースされたモデルだと思い、お客さんに水を向けたらそういう訳なんだと説明してくれました。

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まぁレアモデルだからといって機械は変わらないんですけどね。
バラシと磨耗の調整を行ったところです、今朝から続きのスタートです。
29日までにこのSPM含めて3本できるかな…がんばります。
それではまた!


おはようございますー三井堂です。
まずはロンジン手巻きcal428から
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古いロンジンの自社キャリバーです。
OHでお預かり。
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摩耗をチェックしつつバラしていきます。こうした分かりやすい摩耗の痕があると修正がやりやすいですね。
一番受けの摩耗を修正したのちに二番車のアガキを調整しました。
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人工ルビーを穴石調整器を使って動かします。マイクロメーターで微調整しつつ動かすことができますが、結局は指先の感覚が最終的な基準になっています。
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ヒゲゼンマイや主ゼンマイも綺麗で比較的良いコンディションを保っている個体だと思いました。
現在稼働させて精度調整中です。

つぎ!ヴァシュロンコンスタンタン手巻き
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1年くらい前にやった個体。落とした衝撃で風防が外れたからと再持ち込みの後、そのまま風防だけつけて返したら止まるということで…。

ちょっとばらしながらチェックしてみると、落下の衝撃で二番の石がずれてアガキがなくなっている状態でした。
例によって穴石を動かして調整しました。万一にも石が割れたら大事なのでさすがに緊張しましたよ。

二番のアガキを適正状態に調整、秒カナ抑えバネのテンション調整をした後OHしてくみ上げ。
バラシ前の少し不安定なテスター数値も改善しました、振角270度程度。
これで落ち着いてくれるといいんですがね…。しばらく様子見てみます。

つぎは店売品の57グランドセイコークロノメーター
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定期的なOHをされてきた個体のようでアガキはまずまず適正、摩耗もほぼ無い状態でした。
が、ヒゲの偏心と内端のゆがみがあったのでそちらは修正しておきました。
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振角250度、ヒゲの調整で姿勢差もよくとれたと思います。1週間~10日ほどランニングテスト予定です。

それではまた休み明け木曜日に!







こんにちは、三井堂です。
まずはCYMAの手巻きから
これは店売品なんですが、テスターにのせたらあまり振りがよくなかったので再OHすることにしました。
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シンクロン40…と書いてありますが、今風に言うとETA2801ですね。ちょっとここらへんの事情には詳しくないですが、もしかしたらETAが吸収する前の自社ムーブとかだったんですかね。
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3番のホゾを磨きなおして洗浄注油を行いました。振り角も40度程あがり、精度もまずまず出る様になりました。
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ベルトを変えて再度店頭で販売中です、結構いい顔してると思います。

つぎ!オメガオートマ(cal471)
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オメガオートマcal471、565より古いオートマですが、手巻きの感覚がかなり良いですね。
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一番芯ウケの磨耗、歯車のカナの錆びがありましたが致命傷ではありませんでした。
磨耗を修正して、カナの錆びを落としました。ついでにヒゲゼンマイも修正してあります。
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ケースの腐食が進んでいて防水はもうあまり期待できません、部品の調達もどんどん難しくなっていくので水には気をつけて使っていただく必要があると思います。
振り角は250度程度、歩度は+10秒くらいで調整中です。
565の市場評価は言うまでもなく高いですが471も個人的にはかなり良いと思います。

そういえばオーデマピゲの手巻きもやっていたのを忘れていました。
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画像これだけしかないんですけど綺麗なのでのせておきます。
3番横にベアリングつきの中間車が配されています。設計上の理由はわかりませんが無駄なことはしないと思うので一応理由があるんでしょう。
急ぎということで預かってすぐの施工でした。振り角280度くらい、二針なので精度はかなりつめ気味で調整してあります。

今日はここらへんで終わります、あと3時間ほどで終業ですがフランクミュラーの手巻きをやってから帰りたいと思います。それでは!

おはようございます、三井堂です。
まずは先日のゾディアッククロノの続きから
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まずはアンクルとテンプを組み込み、片振りを0.8msまで調整(0.8は大体グローバルスタンダードです)
ただ振角が高すぎて振り当たりが起きていたので、振角を下げる調整を行いました。

とりあえず前回の施工で内側に曲げられた土手ピンの修正、アンクル爪の調整とゼンマイ油の変更を経てようやく振り当たりが解消されました。
古い手巻きクロノは振り当たりがよく起こります、一番手っ取り早いのはゼンマイをもう少し弱いものに交換することなんですけどね、入っているものがオリジナルかどうかもわかりませんし。

その後は60秒積算計の針がとびがちだったのでホイール下のバネのテンション調整、30分積算計の位置決めバネの当たりの調整を行いました。

現在ワインダーにかけて精度調整中です、姿勢差もなく良い状態に仕上がってくれています。苦労した甲斐がありました。


つぎ!ロレックスクサリ男持ち(cal1030)
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外装はGMTマスターっぽく仕上げてありますが、機械はcal1030(普通の中三針)、針もついていません
さてさて…
とりあえずお客さんにお持ちいただいた針セットはどれも使えなかったので、こちらで1030用の社外針を手配しました。
カレンダー分機械と文字盤の間に隙間がありますが、ギリギリ短針のクリアランスが取れたのでシブシブ施工するとします。

中を開けてみると錆こそ多いものの著しい摩耗はなく意外といけそうなコンディション…と思いきやヒゲ玉(天真とヒゲゼンマイを固定するパーツ)がゆるゆるになっていて、テンプウケを外した瞬間ヒゲがストン…と外れてしまいました。
まぁ古いものなのでどちらにせよヒゲ玉を動かして片振りは調整するのでいいといえばいいんですが。
後でヒゲ玉も〆なおします。
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二番車のカナの錆、オートマ伝え車のほぞの痛み以外はまずまず良好なコンディションです。
錆は研磨材とグラスファイバーを使って出来るだけ落とします、伝え車は研磨で対処。
片振りを0.0msに調整して振角300度超、ひげゼンマイもしっかり修正したので精度もばっちりでました。
いや調子ですぎでしょ…オリジナルの文字盤と針とケースとブレスじゃないことだけが残念です(機械以外全部やんけ)
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現在手配した社外針の塗装を全部はがして文字盤のインデックスの焼けた夜行色に調色中です。
隣の百均で買ってきた化粧品が意外といい色で、ちょっと混ぜたら良い色になったのでとりあえずいま乾燥させているところです。

そんなところでそれではまた!






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