三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

2021年01月

こんばんは三井堂です。
昨日分です。
まずは52キングセイコースペシャルから
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分解掃除とパッキン交換でお預かりです。
リューズパッキンと裏蓋パッキン交換で防水検査クリアしています。
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機械は錆などなく綺麗な状態です。一番芯下部にやや摩耗があったので修正してあります。
後年型の4Sになるとメタルが入っているので減り辛い部分ですね。
香箱横の地板に直付けされた歯車(自動巻きから動力を伝える)や手巻き用の遊星歯車など油切れの影響を受けやすい歯車が多いですが、セイコーの中では高級機に位置付けられ精度もよく出る個体です。

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デイデイトつき
カレンダー機構も4Sとはちょっと違った気がします。
裏回りはかなり部品点数が多く、また結構複雑に噛み合っているのでしっかり分解して洗浄注油を行う必要があります。
これをちゃんとやっておかないと分解掃除したのになんとなくリューズ操作がしゃっきりしないな?ということになります。
分解掃除を行って振角250度程度、2日稼働させて日差+4秒と上々な稼働状況です。
もうしばらくチェックしていきます。

つぎ!エポスオートマクロノ(ETA7750)
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分解掃除でお預かりです。
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こちらも非常に良い状態でした。
オートマ回りにやや油切れが出ていましたが、部品交換は必要ありませんでした。
香箱の内壁の油も乾いていたので内壁にグリスを塗布したのち、ゼンマイを巻きなおしてあります。

分解掃除を行って振角300度弱、歩度+8秒程度で調整中。
12時間積算計の動きがやや心配なのでチェックしていきます。

今日はHPの編集や他業務などで時間がとれなかったので店売ロレックスの仕上げ作業を途中まで
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二番車の摩耗修正と洗浄まで行っています。
続きは明日へ!ではまたー

こんばんは三井堂です。
まずはゼニスcal2542
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1年半前くらいに私がOHしたもの
置き回りが出ていたのでツツカナをカシメ直して調整しました、内部の油もまだ残っており綺麗な状態でした。
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念のため部品のチェック・・・
剣座が少し弱いものが使われていたので強いものに交換済。
日差+7秒程度で好調に動作中です。

つぎ!セイコーマーベル手巻き
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古い手巻きです、一応耐震機構などは備えています。
今回はリューズ合わせと分解掃除でお預かりです。
リューズはなくなっていたものの内部に殆ど錆などは出ておらず綺麗な状態です。
オシドリ回りにはさすがに少し錆が出ていたので錆落としを行ってあります。

一番芯上下と二番車に少し摩耗が見られたので修正しました。
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針のハカマが結構痛んでいてクリアランスが厳しめだったので少しだけ短針は逆に反らせてインデックスにぶつからないようにしました。
幸いプラ風防なので多少高さには余裕があります。
秒針のハカマもゆるゆるだったのでカシメなおして調整を行いました。
3,4日程度稼働させて止まりもなく順調に稼働中、精度は+20秒くらいです。

つぎ!ヴァシュロンコンスタンタンルネッサンス手巻きcal1014
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ルクルトcal818ベースの手巻きキャリバー
分解掃除でお預かりです。
ウケ、各部品の磨き、ガンギの耐震機構追加など手抜かりないアップデートが行われています。
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部品などは特に摩耗などはありませんでした。
裏回りの部品には少し油の乾いた痕がありましたが総じて美しい状態を保っていました。
ヒゲゼンマイに少し油が付着して精度が乱れていたので洗浄を行っています。

分解掃除を行って振角250程度、歩度0~+5秒程度で調整中、精度が落ち着くまで少し時間がかかる機械なのでもう少しランニングテストしていきます。
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防水検査を行ったケースに収めて終わりです。
こんなに美しい機械をしれっとソリッドバックの中に収めておく…いや粋ですよねえこれは。

今日はここまでで終業になりました。
明日は52KSスペシャルとエポス7750クロノの施工予定です、これが終わったらそろそろHPインスタの編集作業に移れそうかな…?
それではまた!













こんにちは三井堂です。
まずはオメガジュネーブオートマ(cal565)から
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550系のオートマ、非クロノメーター規格のムーブメント(クロノメーターは564)ですが数字の並びが綺麗なので好きです。
店売予定のものですが非常に綺麗ですね、ネジも組み立て時のものと思われる軽いゆがみしか見られず美しい状態です。
ウケに酸化による軽い変色が見られるのでこれは薬剤処理できれいにします。
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まったくといって良いほど摩耗のないデッドコンディションでした。
香箱内壁の摩耗は以後心配なので、ゼンマイを取り出してから内壁にグリスを塗布して巻きなおしてあります。
ゼンマイは一回取り出すと寿命が10年短くなるらしいですが、切れたゼンマイは替えればいいですが香箱の交換は難しいので…。
やはり一回ゼンマイを取り出してしっかり香箱内壁のケアをするのが大事だと思います。

組み上げて現在精度調整中、歩度+10秒程度で調整中です。

つぎ!オリエントスターオートマ
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スケルトン仕様のオートマ
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中抜きされたパーツで本剣車のズレがないようにしてあります
インジケーターとスモセコつき
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マジックレバー式のオートマで手巻き機能はついていません
一番芯受けが特に摩耗していたので修正してあります。
他部品は大体綺麗でした。
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分解掃除を終えてインジケーター針をつけて針の動きを見ているところです。
チェックできたらケーシングして精度を調整していきます。

今日はロレックス2本、古いゼニスを施工予定です、それではまた!







こんばんは、三井堂です。
まずはオメガシーマスターオートマ(ETA2892)
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OH他ということでお預かり
他というのはよくわかりませんが、文字盤と針を外してみると中央シャフト内の四番車ホゾに緑青のようなものが発生していました。
油のかわいた状態で湿気の影響を受けると湿気や錆などが出ますね。
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幸い他の部品に錆や摩耗などもなく良い状態でした。昨日分解掃除を行った後に今日まで稼働チェックして少し進み気味なので、改めてヒゲゼンマイの煽りを調整してもうすこしシビアな調整を行いました。
姿勢差もないのであとは経時でどれくらいぶれてくるかですね、もうしばらくチェックしていきます。

つぎ!セイコークロノス
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セイコークロノス21石モデル、保油機構を備えた両手持ちテンプ搭載
巻き芯にやや錆あり、ムーブメント外周部に少し緑青が出ています。
巻き芯の錆を取りながら、ゆがんだヒゲゼンマイの修正を行います。
次いで一番芯受けに摩耗が出ているので補正を行いました。以前の修理で上からタガネを打ったせいで縦アガキが無い状態だったのでアガキも確保しました。

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主ゼンマイの外端部が剥離したのを加工修理した痕跡がありました。
この加工方法だとゼンマイの全長が少し短くなったり、トルクが不安定になることがあります。
年代的にドンピシャのゼンマイもなかなか手に入らず、交換してかえって悪化する可能性もあるので一応このまま再利用して稼働時間や精度などチェックしていきます。

風防のみ磨いたケースに収めてチェック中です。


つぎ!ブライトリングトップタイム(バルジュー7730)
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クロノ中間車が外れた状態でお持ち込み…嫌な予感しかしません
一応部品の破損はないみたいですが

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文字盤の足は片方折れています、裏抑え付近に少し錆がでていますね。
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とりあえず部品の痛みはそこまで激しくなさそうですが、2点不具合がありました。
30分積算計用の歯車のホゾが曲がっているので30分積算計が動かず止まってしまうこと
カップリングクラッチの可動域調整用ネジの頭が広がっているせいでカムが上手く動かないこと
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とりあえずネジの頭は補正してカムが動くようになりましたが、歯車のホゾの曲がりがうまく補正できません。
目視でギリギリわかる程度の歪みですが、ホゾは地板とウケにしっかり固定されているので少しの曲がりでもテキメンに不調につながります。
とりあえず7730の部品は海外手配できそうなので、お客様に確認をとったのちに曲がりの補正をもうちょっとやってみて、ダメだったら部品手配ですね…。パッケージ入りでも1万円しないのが不幸中の幸い。
一応ベースムーブメントは一番芯受け、二番車軸ウケの摩耗補正、ヒゲゼンマイの修正を経てかなり調子よく動いています。
あとはクロノグラフ部分のみ…!

というわけで今日はここまででした、明日はちょこちょことした修理をしながらアンティークの仕上げ作業ができればと思います、それでは!






まずはオメガジュネーヴオートマ(cal565)
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カレンダーのクイックチェンジが可能なモデル
カレンダーウケのネジが1個違うので純正品と入れ替えておきます。
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ヒゲゼンマイの水平出し調整を行いました。その他の部品は綺麗でした。
組み上げて振角250度、歩度+10秒で調整中。姿勢差もないのでもう少し詰めていきたいです。

つぎ!オメガスピードマスターオートマ
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久々の2892ベース二階建てオートマクロノの施工です。
プッシャーが欠損していた影響か内部に湿気がはいった痕跡が見られます。
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クロノモジュール側のシャフト、最も湿気が集まる場所です。
不動になっている原因は大体ここの赤錆ですね。
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意外にもモジュール側にそこまで錆は出ておらず一安心
ただし、リセットボタンにもっとも近い部品はかなり錆が出ていたので錆取り剤などを使って対応
クロノ動作に支障のないようにしました。

ベースムーブメントはオートマローター以外は湿気の影響はありませんでしたが、油切れによる摩耗がほとんどすべての部品で起きていました。
切替車は再利用がむずかしったのですが、それ以外はすべてスムージングして対応しました。
錆とりとスムージングなどで結局1日仕事になってしまいました。

振角270度、歩度も安定しています。脱進器回りが綺麗だったのが幸いでした。
現在針つけまで終えてプッシャー接着と洗浄を終えたケースの乾燥待ちです、休み明け木曜日にケーシングしてさらにランニングテストしていきます。

それではまた!

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