三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

2021年10月

こんばんは三井堂です。
ぎっくり腰やりましてしばらくお休みをいただいていました。
今日から仕事復帰です。

まずはロレックスサブマリーナcal3135から
IMG_4328
既にバラして見積もりをだしていたもの
油は大分乾いており、歯車はすべてホゾに摩耗痕がでていたのでスムージングして再利用しています。
他カレンダー回りの部品のメッキ層に軽い腐食が見られました。
動作に問題はありませんが過去に湿気がはいったのかもしれません。
4本のパッキンを全て交換して防水を確認しました。

分解掃除を終えて振角260度程度、歩度+3秒で調整中です。

つぎ!オメガスピードマスタープロフェッショナル手巻きcal861
IMG_4329
ゼンマイ交換と分解掃除でお預かりです。
ゼンマイ切れによる部品の破損はなし
IMG_4330
二番車を受ける地板が摩耗していたので調整しました。
IMG_4331
出車の高さ調整を行っているところ
恙無く分解掃除を終えて針つけまで終えたところで今日は終業時間でした。
明日ケーシングします。

明日はルクルトオートマのカレンダー修理からです。
それではまた!

こんばんは三井堂です。
土曜日からサーバーの調子が悪く、ホームページへのアクセス、メールの送受信ができない状態になっています。
メールでのお問い合わせへの返答は遅れてしまうので、お手数ですが電話にてご連絡をお願いします。
店舗は通常通りの営業です。

まずはグランドセイコー手巻きcal4520A
IMG_4273
上から見てすぐにわかるぐらいに油が乾いています。
歯車が華奢な機械なので摩耗が心配ですが…
IMG_4275
意外にも稼働に直接の影響を及ぼす軸部の摩耗はほぼありませんでした。
ほとんどが油カスの汚れだったようです。
それでもカナの隙間にはびっしり赤錆が出ていたので丁寧に除去しました。
他軽い摩耗部をスムージングしました。
IMG_4276
今回は部品交換なしで分解掃除のみで対応可能でした。
現在裏蓋パッキンを手配中です。しばらくランニングテストしていきます。

つぎ!セイコー5アクタスオートマcal6106
IMG_4280
巻き上げが悪いということでお預かりです。
IMG_4281
まずマジックレバーが爪の摩耗で巻き上がらなくなっていること
もう1点は一番芯を受ける穴の摩耗で角穴車がコハゼに擦っていることです。

マジックレバーは交換にて対応
一番芯は本来だったら穴を詰めるか、摩耗しづらい方向にメタルを入れ替えるなどで対応しますが
以前の修理で全方位詰めているせいでメタル全体の厚みがかなり薄くなっています。
IMG_4285
耐久に不安があるので潰しからメタルを移植します。
IMG_4286
交換を行いました。
ベースムーブメントは既に組み終わっていますが、マジックレバーは現在部品手配中のため届き次第また着手します。
それではまた!




こんばんは三井堂です。
まずはティソ手巻きクロノcal1281から
IMG_4230
分解掃除とセンター針の袴別作でお預かりの個体です。
IMG_4229

IMG_4232
袴は既に別作済み、リセットの正常な動作を確認しています。
摩耗をチェックしながら機械をバラしていきます。
油はすっかり乾いており手巻き機構にかなり鉄粉が出ていました。
他、レマニアクロノお約束の一番芯上部ウケの摩耗、二番車ウケ穴の摩耗が見られたので穴詰めにて対応しました。
幸い歯車にはほぼダメージはありませんでした。

分解掃除を行って振角300度、歩度+10秒程度で調整中です。
分解掃除前と比較すると振角も100度以上上がっています。

つぎ!61グランドセイコーハイビート
IMG_4233
グランドセイコーの10振動ハイビートのオートマムーブメント
天真折れの為、天真交換と分解掃除でお預かりです。
天真は部品が手に入ったので既に交換作業を終えてあります。
IMG_4234
機械は比較的綺麗で分解掃除のみでいけそうです。
キツくかしめられた香箱は物によっては開けるのが大変ですが、この個体は簡単に開きました。
セイコーでメンテナンスを行っていた時は香箱一式交換のため、開ける必要はなかったのですが現状ではメンテナンスも行っておらず香箱の部品供給も終わっています。

モリブデン系のグリスがかなり乾燥していました。
綺麗に洗浄して香箱内壁へグリス、ゼンマイにも注油を行いました。
今日は部品の洗浄まで行って終業でした。

明日は61GSの組みたてから始めます。それではまた!



こんばんは三井堂です。
まずはセイコーロードマーベル手巻きcal5740Cから
IMG_4108
時々止まることがあるということでお預かりです。
バラしてみてみると二番車のホゾに摩耗と赤錆、一番芯下部ウケ穴に摩耗が見られました。
IMG_4110
この5740のハイビートで一番減りやすいのはこの一番芯下部のウケ穴です。
減りやすいけど見逃されていることが多い(見逃しやすい)箇所です。
穴を詰めてガタがないことを確認したら手錐でバリをとって研磨剤でスムージングします。
IMG_4109
分解掃除を行って歩度+10秒程度で調整中です。
稼働時間のチェックを行っていきます。

つぎ!セイコードルチェクオーツ5E31
IMG_4129
少し古めのドルチェです。
分解掃除でお預かりしたんですがコイルが切れていた為、コイルも交換です。
今回はたまたま手持ちの部品がありましたが、この機械はもうメーカーから部品手配できないので電気部品が破損すると修理が難しいかもしれません。
IMG_4130
IMG_4131
IMG_4132
IMG_4133
作業の工程上、同時にバラしてエピラム処理をかけています。
こちらのエクセリーヌも古いキャリバーですが電気部品に問題はありませんでした。
分解掃除を行って消費電流も適正値に戻りました。
どちらもリューズ、裏蓋パッキンが劣化していたので交換を行っています。

つぎ!オメガスピードマスタープロフェッショナルムーンフェイズ 3575.20 cal3866
IMG_4135
IMG_4134
通常のスピードマスター手巻きにムーンフェイズとデイトが追加されています。
早送りはコレクタープッシュによって行います。
2段状の本剣車から中間車を1枚経由して送るだけのシンプルな構造です。

今回はゼンマイ交換と分解掃除でお預かりです。
3,4年前にスイスでオメガ社で分解掃除を行ったということですが、一番芯受けからは鉄粉が出ていて、二番車のホゾも摩耗が進行していました。
IMG_4136
幸いゼンマイ切れによる部品の破損はなかったので摩耗箇所の修正のみで対応可能でした。
今日は機械部まで組み終えたところで終業時間でした。
文字盤、針ツケは休み明け月曜日に行っていきます。
それではまた!

こんばんは三井堂です。
まずはカルティエタンクオートマETA2000から
IMG_4085
ETA2892を縮小したようなムーブメント
IMG_4086
ホゾにはちらほら油の痕跡が見られますが、ガンギに埃が絡まり歯先の油を散らしていました。
一番ウケ裏に直付けされた丸穴や中間車は分解できないため、特に油の状態が重要です。
こちらも特に痛みはなく一安心。
IMG_4088
IMG_4089
ゼンマイはまだ再利用できそうです。取り出して洗浄を行います。
IMG_4087
小ぶりな機械で少し巻き上げ効率が悪いです。
切替車など部品は全て問題なかったのですが、着用だけで十分巻き上がらない場合は補助的に少し手巻きしていただくと良いと思います。
組み上げて振角300度弱、歩度+10秒弱で調整中。
チューブパッキン劣化により防水が効いていなかったので、本日取り寄せたパッキンに交換して3気圧防水を確認しました。

つぎ!セイコークレドールクオーツ2F70
IMG_4096
IMG_4097
所せましと歯車がレイアウトされています。
歯車の重なり合う部分には剣座(クッション)がセットされていて、比較的組みづらい構造になっています。
IMG_4098
油の乾きが目立ちました。特にツツカナと本剣車の擦れる部分は油が乾いて固着していました。
乾いた油を綺麗に落として再組立てします。
組み立ても特に苦労せずに終わりまして消費電流0.14μA程度になりました。
ケーシングして少し様子を見ます。

つぎ!セイコークレドールクオーツ5A74
IMG_4099
これもかなり幅広く使われている機械です。
エクセリーヌやクレドールによく載っています。
絶遠シートが2枚あり1枚は地板に取り付けるようになっていますが1枚は電池で上から抑えるだけの構造です。
電池交換の時にも少し注意してほしい機械です。
IMG_4100
IMG_4101
IMG_4102
構造はかなりシンプルで小鉄車さえ省略されています。
その為針送りなどの感触はぐらぐらしてあまり良くないですね。
機械の分解掃除を終えて文字盤と針ツケまで終えたところです。
明日リューズパッキンを交換してケーシング予定です。

つぎ!セイコークレドールクオーツ5A70
IMG_4104
同じ機械が続いてしまって申し訳ないです。
ちなみにもう1本施工待ちの同じ機種があるので明日施工します…
IMG_4105
こちらは上のクレドールと同じお客様からお預かりですが、かなり湿気の入った痕跡が見られました。
リューズパッキンと裏蓋パッキンの交換で3気圧防水確保できました。

それから本剣車を取り付ける地板部分に傷があり、稼働上悪影響になりそうなので研磨剤で慣らしてあります。
他少し錆が出ている部分の錆を落として分解掃除を行いました。
文字盤と針ツケまで終えてあるのでケースの乾燥が終わったらケーシングしていきます。

というわけで今日はここまでで終業でした。
明日はクレドールとカルティエのクオーツ、ロードマーベル手巻きあたりの施工になると思います。
それではまた!





このページのトップヘ