三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

2022年01月

こんばんは三井堂です。

そういえばセイコーからキングセイコーがレギュラーラインナップとして発売されるそうですね。
第一弾はKSKデザイン踏襲のノンデイトモデル
ムーブメントは6Rベースながらカレンダー機構をオミットしてケース厚12㎜まで抑えています。
メタルブレスも仕上げが凝っているのが伝わる良デザイン
革バンドもアンティーク感のあるカーフバンドが純正として用意されています。今までだったらフランス仕立てのカイマンワニとかだったのに一体どうしたんでしょうか…。

針だけは多面カット針から笹剣に変更になっていますが、コストの問題でしょう。
ウチはショップ認定されていないので取り扱いできませんが、非常に気になる1本です。

気になるついでで言うとウチでも取り扱いのあるルイエラール
カッパーブラウンダイヤルの39㎜径、スモセコ3針オートマモデルが新しく発売されました。
これは是非仕入れてみたい1本で、今まで42㎜ばかり展開していたルイエラールですがケースサイズ縮小のトレンドを取り入れてきました。
ビンテージ風のダイヤルカラーもグッドです。
スクリーンショット (29)
休み明けに代理店に問い合わせてみます。

さて、今日の修理の話に戻ります。
まずはキングセイコー手巻きcal4402から
IMG_5183
こちらは店売予定のKSSK
ラグが滑らかな形状のモデルです。カレンダーつき、もちろん多面カットの針使用
1960年代のモデルになります。
IMG_5184
ようやく少しずつ手が空いてきたのでアンティークの仕上げに入れます。
機械の状態は概ね良さそうですが、まずはヒゲゼンマイの偏心の修正
それから2番車のアガキが不足していたので地板側のウケ石を動かして縦アガキを造りました。
他一番芯下部の穴詰めを行いました。上部は以前の修理でしつこく修正された痕がありましたが、下部はノータッチでした。
IMG_5186
分解掃除を行って振角300度弱、これから精度調整していきますが+10から15秒程度になると思います。
既に仕上げ、洗浄していたケースに収めてランニングテストしていきます。

つぎ!IWCcal8541Bオートマ
IMG_5187
8541オートマ
こちらも店売予定の品
IMG_5188
IMG_5189
ペラトン式の自動巻き機構
非常にシンプルな構造ですがよく巻き上がります。
IMG_5193
香箱、ゼンマイを取り出したところです。
IWCの香箱は内壁にフッ素加工がしてあってゼンマイスリップによる摩耗はあまりしないようです。
念のためゼンマイの洗浄、内壁へのブレーキンググリス塗布を行います。
IMG_5191
他一番芯のアガキを造ったり2番のアガキを造ったりしました。
8541で2番のアガキが少ないのは珍しいと思います。
分解掃除を終えて振角300度強、今日は針ツケまで終えて終業だったので休み明けに精度調整していきます。
それではまた!





こんばんは三井堂です。
まずはIWCフリーガードッペルクロノグラフcal79230
IMG_5146
7750ベースのドッペルクロノグラフ
60秒積算計が2つあり、それぞれを計測できるというものです。
ラップタイムの計測ができます。
IMG_5147
IMG_5148
通常のクロノグラフホイールの上にスプリットセコンド用のクロノグラフホイールが配されます。
基本はベースのクロノグラフに同期して動き、スプリットボタンを押したときの横の爪で停止
再度押すとバネの力でベースのクロノグラフへ追いつきます。
IMG_5149
ゼンマイに折れ癖がついてしまっているので主ゼンマイは交換しておきます。
他2番車のアガキ過大、切替車軸やや摩耗などの症状が見られました。
2番車の上下穴石を動かして適正なアガキに調整しました。
ツツカナに対して2番がかなりきつく入っていたのでそのせいで石が動いたようです。
組み立て時にも2番穴石を受けながら穴石調整器を使用してツツカナを圧入しました。

切替車はスプリットセコンド機構があるため、カナが長く作られている特殊仕様で通常の7750のものは使えないのでこのまま再利用とします。
IMG_5153
分解掃除を終えて振角300度強、歩度0~+3秒程度で調整中です。

つぎ!セイコーオートマ4R35
IMG_5156

IMG_5157
マジックレバー式のオートマ
7S系に手巻きを追加したような構造です。
IMG_5160
比較的綺麗な状態でした。
ヒゲゼンマイにかなり偏心が見られたので調整してあります。
ロービートなおかげもあると思いますがオートマ下の部品は相変わらずほぼ摩耗などなく綺麗です。
ただしオートマ機構はたまに不具合のでる場合があります。

今日も4R搭載機で3年前に新品購入したというレディースのプレサージュをお持ちいただきまして
見るとマジックレバーの爪が完全に摩耗して巻き上げ不良の状態になっていました。
6Rに比べると少し素材的に弱いのかもしれません。

さて、分解掃除を終えて振角290度程度、ヒゲゼンマイを調整して片振りがでているので合わせて調整していきます。

明日はエト足の修理を行っているロレックスの文字盤の調整とアンティーク商材の仕上げなどをやってい予定です。
それではまた!







こんばんは三井堂です。
まずはオメガシーマスタープラネットオーシャンcal8500
IMG_5129
短針早送り不具合で分解掃除と本剣車内部バネ交換でお預かりです。
この個体は完全にバネが折れていて短針が動かない状態でした。
手配したバネを交換して動作の改善を確認しました。
IMG_5130
油はまだまだ残っている状態でした。
分解掃除を終えて歩度+3秒程度で調整中です。現在稼働チェックです。

つぎ!グランドセイコーレディース4J52B
IMG_5131
レディースのGS搭載のクオーツ
4Jは旧メンズGSやクレドールに乗っていた8Jの縮小版ムーブです。
ドルチェエクセリーヌ他幅広く使われています。

8Jのカレンダーは短針早送りによる変更に対して、4Jは日付単独で早送りができるのは非常に良いです。
8Jもやはり短針早送り用のバネが折れます。

IMG_5132
既視感のあるレイアウト
カンヌキバネの座りが非常に悪いです。
IMG_5133
分解掃除を終えて消費電流0.56μA
10気圧防水も確認済です。しばらく稼働チェックしていきます。

つぎ!クレドールフェニックス6S78
IMG_5134
IMG_5135
好きな機械です。
座がいたるところにある上、年代によって座が追加されていたり省かれていたり(失くされたり?)しているので気が抜けません。
IMG_5136
オートマユニットを全て外したところ
オートマ稼働不良ということでお預かりしています。
角穴中間車の戻りの動きがやや悪いような感じです。摩耗は見られず洗浄と注油で動きは改善しました。
IMG_5137
分解掃除を終えて振角270度、歩度+5秒程度で調整中です。
これからオートマ稼働のチェックをしていきます。

休み明け木曜日はロレックス1570から施工していきます。それではまた!

こんばんは三井堂です。
しばらく間があいてしまいました。

まずはオメガシーマスターアクアテラコーアクシャルcal8500
IMG_5087
IMG_5086
短針早送り故障ということで本剣車内部のバネ交換と分解掃除でお預かりです。
ひょうたん型のバネが1時間ごとの早送りを司りますが、これがよく壊れます。
早々に社外製のバネが販売されたのも納得です。
ちなみに現在同じ症状のコーアクシャル搭載オメガが3本入院しています。
IMG_5088
IMG_5090
IMG_5091
IMG_5092
ツインバレル式60時間のパワーリザーブがあります。
油はまだ十分にある状態でした。油溜めの形状がマズいのか一番芯受け、香箱2つをつなぐ中間車の軸に油切れが起こりがちです。

分解掃除を終えて現在+4秒程度で精度調整中です。短針早送りも正常に機能中。

つぎ!オメガコンステレーションオートマ
IMG_5098
IMG_5099
腐食したケースの欠片がガンギ車の下に潜り込んでいました。
機械自体は少しケースの腐食粉や錆粉が散っていましたが綺麗で油も残っていました。
機械は全てバラして洗浄済み。

ケースは錆取りを行った後少し補修する予定です。
明日も出勤です、それではまた!

こんばんは、三井堂です。
まずはセイコードルチェクオーツ5E31
IMG_4994
分解掃除でお預かりです。
干支足折れの為、文字盤に本剣車が接触して止まりが出ていたようです。
干支足の立て直しを行いたかったのですが、非貫通式のプラ製の地板に折れ残っておりピックアップできませんでした。
IMG_4995
分解掃除を行って消費電流0.56μAでした。
中心が出るように文字盤を固定しなおしました。

つぎ!IWCアクアタイマークロノグラフ
IMG_4997
7750ベースのオートマクロノ
切替車からやや鉄粉あり、伝え車固着など
7750にありがちな油切れによる症状が散見されました。
輪列部分は油が残っていてホゾの摩耗はありませんでしたが、二番に圧入するツツカナ車軸が緩んでいたので穴詰めしなおしてあります。
詰めなおした後に剣回ししてツツカナが浮いてこないのを確認済です。

他一番芯にやや摩耗があったのでそちらも穴詰めにて対応しました。
分解掃除を行って振角290度、歩度+3秒程度で調整中です。現在クロノグラフの稼働チェック中です。

つぎ!オメガスピードマスタープロフェッショナルcal861
IMG_4999
赤銅メッキのcal861
IMG_5001
古めのキャリバーですがほとんど油が残っている状態でした。
歯車なども概ね綺麗な状態でしたが一番芯の摩耗が残っていたので穴詰めを行いました。

ここまで作業したところで妻の出産立ち合いの為途中で退社。
予定日より早い出産で2500gと小さ目でしたが無事第一子(女の子)が産まれました。
経過がよければ15日には母子同時に退院できるとのことで一安心です。
少しバタバタするのでブログの更新が滞るかもしれませんがご容赦ください。
それではまた!

このページのトップヘ