三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

2022年04月

おはようございます、三井堂です。
IWCは組み上げの段階でガンギ歯に錆が出ているのがわかり部品発注中です。

続きましてオメガスピードマスターオートマ
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外装の錆が酷かった個体
リューズは巻き芯を折って無理やり取りました。プッシャーも2個とも交換対応です。
意外にもモジュール部にはほぼ錆はありませんでした。あまり使っておらず保管時にじわじわ湿気の影響を受けた感じでしょうか。

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結構深い錆でした。オペレーティングレバーは力がかかる部分なので耐久性に少し不安があります。
錆は完全に取り切ったのでとりあえず部品はすべて再利用とします。
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ベースムーブメント
こちらは4番車ホゾに少し摩耗があったので磨きをかけてあります。二階建ての4番は高額なのでできれば再利用したいです。
あとは丁寧にメッキ層にこびりついた湿気の痕を除去しました。
組み上げて振角280度程度、歩度もまずまず

モジュール部は引き続きリセットズレの調整を行い、30分積算計の針がやや高かったのでハカマの内径を少々削り他の針と高さを合わせました。
ベースムーブメントと合体させて振角270度程度、歩度+3秒程度です。意外と調子出てくれたと思います。
ようやく届いたプッシャーもケースに取り付けて防水検査クリアです。
休み明けに巻き芯の長さを調整して最終チェックです。

つぎ!オメガシーマスターオートマcal565
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分解掃除でお預かりです。
油は乾いており、手巻きの感触が少し重たいようですが概ね問題なさそうです。
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二番車に少し摩耗痕あり
他ほとんど摩耗の影響などなく良い状態です、錆なども出ていないです。
風防のテンションが少々弱くなっていること、リューズ内部パッキン劣化により防水は効いていません。
ベゼル、風防は外してコート剤を少し流したので多少防水は補強されています。

分解掃除を行って振角250度程度、歩度+5~15秒程度、もう少し詰められそうなら詰めていきます。

他ちょぼちょぼクオーツのOHなども挟んで今日は終業時間でした。
休み明け木曜日はグランドセイコー8N65の施工から、ガンギが届き次第IWCを組んでいきます。
それではまた!

こんばんは三井堂です。しばらくぶりの更新です。
ようやく落ち着いてきました。

まずはオメガスピードマスタートリプルカレンダーETA7751
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不動でお預かりの個体
リューズ交換と分解掃除コースです。
巻真も一緒に交換です。リューズ交換で5気圧防水が確認できたのでバラしていきます。

ちなみに不動の原因は24時間計と同軸上の秒針との接触によるものでした。
秒針はハカマが割れていたので交換してあります。

湿気の影響がちらほら出ていました。
特にコレクターによって早送りする曜日ディスク回りは丁寧に研磨剤を使ってスムージングしました。
弱いバネで早送りレバーを規制しているので少しの軋みが致命傷です。
何より文字盤と針を付けてからディスクの早送りが渋いと、また全部針つけやり直しなんでがっかりしますよ(1回やりなおした)

他あまりないトラブルですがスイングピニオンを受ける穴が少し広がっており、クロノの連続稼働時間に影響があったのでクロノグラフホイールの噛み合いを少し調整しました。

テンプ回りにも緑青など出ていたので心配でしたが分解掃除後振角300度、歩度も+5秒程度とよく動いてくれています。
既に出来上がりの連絡済。

つぎ!オメガスピードマスタープロフェッショナル手巻き
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裏蓋パッキン劣化により防水効いていませんでした。交換して5気圧防水確認済。
二番車受ける地板側にやや摩耗あり、穴詰めにて対応しました。
4番車に曲がりがあり、出車にもブレが出ていました。今回はリスクを考慮して曲がりは少々見逃して出車自体のブレを直接補正しました。
最近のレマニアの部品の手配しづらさと来たら困ったもんです。うまくブレも補正できてクロノグラフの稼働も問題ないようです。

振角280度、歩度+0から5秒程度で調整中。

つぎ!キングセイコー56クロノメーター
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分解掃除、ガラス交換、リューズパッキン交換でお預かりです。
リューズパッキン劣化により少し内部に湿気の影響が出ていました。
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例によって中央のシャフトに摩耗が出ていたので対策を講じました。
ツツカナの重さなども適正で手のかからない個体でした。
ゼンマイも取り出して綺麗に洗浄済み。
歩度+10秒弱で調整完了しました。リューズの根本の曲がりも補正して手巻きの感触も上々です。

つぎ!ハミルトンカーキオートマETA2824
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不動ということでお預かりです。
ゼンマイが切れていない状態で止まりは結構珍しいです。
調べてみると一番芯(ゼンマイの巻だしの中心軸)にバリが出ていて、ウケの人工ルビーと軋みが出ている状態でした。
バリを取るとウケ石に対してガタが出てしまうので交換対応としました。縦アガキも少し補正しておきました。

他一応10気圧防水は効いていたのですが、リューズ根本に錆が出ており巻真径が半分以下になっていたので巻真は交換することにしました。
錆ついて劣化している巻真がリューズ内部に折れ残ってしまったのでドリルで取り除いて新しいものへ交換しました。

分解掃除は既に終えていて振角280度超、歩度+3秒くらいで稼働中、絶好調。
巻真の接着が終わったらケーシングします。

つぎ!セイコークレドールパシフィーク4J81
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4Jクオーツの分解掃除です。
部品交換なしの予定だったのですが施工を始めようと思ったらコイルの断線に気づきました。
4J系は一切部品供給ないのでコイルを補修するかどうしようか社員に泣きついたら闇ルート産(?)の純正コイルを恵んでくれました。
感謝!
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ちらほら油は残っていましたが3,4番のホゾに劣化した油の形跡がありました。
クオーツは手が掛からなそうに見えて意外とデリケート
特に3針の場合は4番ホゾ、地板中心のシャフトの油切れなどが不調の原因で特に多いと思います。
防水効いていない個体だと錆粉がステップローター(動き出しの永久磁石)に付着しての不調も多いですね。

分解掃除を終えて消費電流0.56μA 10気圧防水もOKでした。


次!IWCポートフィノETA2892A2
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珍しくカレンダー機構がオミットされているモデルです。
今のIWCで3針エボーシュ使っててノンデイトモデルってないですよね?
最後はマーク15スピットファイアの限定モデルとかですかねえ。
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秒針のハカマが緩くなっていて長針に少し触れているような感じでした。
長針も振れが出ていて4時位置でインデックスにぶつかりそうな気配なので調整が必要そうです。
機械部分は非常に綺麗な状態で、3番車アガキ調整をしたのみです。
あとは通常通りの分解掃除のフローになると思います。
分解と洗浄を終えたところで今日は終業時間でした。

色々余裕が出てきたのでそろそろ店売用のロレックスを仕上げます。
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やっぱり5桁34㎜ケースが一番カッコイイ。

今回は右のエアキングref14000を仕上げます。cal3000、サファイアガラス
ノンデイトだったらcal3000系も良いですよねゼンマイも切れづらいし。現状ハックレバー折れで不動なのでぼちぼち来週までには手を入れる予定です。

それではまた!








こんばんは三井堂です。
ロレックス手巻きは組み終えて振角260度、歩度+5秒程度で調整中です。

つぎ!ロレックスGMTマスターⅡref16710
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分解掃除でお預かりです。

他店で見積もりを出したらローター真交換が必要とのことでした。
実は当店→他店→当店で都合3回見積もりを出しています笑
結論から言うと殆ど摩耗はないのでローター真交換は不要です。
他店の見積もりでは、OH基本料金1万円台で外装研磨と社外ローター真交換の追加料金で結局4万円を超えたらしいです。
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手巻きの感触にほんの少しキシつきが感じられ、ここでやっておけば余計な部品交換とか要らないちょうど良いOHのタイミングですよーというお話をしていました。
案の定切替車のホゾには赤い劣化した油カスが付着しており、性能の劣化なく再利用できるギリギリのところでした。
歯車などは一切摩耗なく良いコンディションでした。
分解掃除を終えて振角270度、歩度+5秒程度で調整中です。

つぎ!ディオール手巻きクロノcal7734
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ヴィーナス188の後継機種
60秒積算計のストッパーとカレンダーが追加されています。
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クロノグラフ部分を全て外したところ
一番芯の上部ウケに少し摩耗があったので補正しました。
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早送り機能はないカレンダー
大振りな位置決めのバネが特徴的
カレンダーの切り替わるタイミングが30分ほどズレていましたが、ツツカナと本剣車との軋みが原因と思います。本剣車の内部を軽くさらいました。
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とりあえずベース部分まで組んだところで今日は終業時間です。
クロノグラフホイールの噛み合いがかなり深そうなのでそこも調整していきましす。
それではまた!

こんばんは三井堂です。
watches&wondersで発表された2022年新作の情報もあらかた出ましたね。
スイス勢の新作群はどれも個人的にはイマイチでした。
ラグスポ、ビンテージ風、復刻系といい加減食傷気味です。

翻って国産のグランドセイコーはよかったです。コンスタントフォーストゥールビヨン
若い設計者とデザイナーの手によるものでらしくない洗練された雰囲気でした。
こういうデザインが普及品にも波及していくといいですね。

はい、というわけで今日の修理です。
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部品を取り寄せていたオメガ861の香箱
歯欠けしていたので新しい香箱へと交換しました。併せて12時間積算計のホゾも折れていたのでこれは軸部だけ打ち換えました。
部品が届くまで一か月近くかかりようやく作業できてよかったです。香箱、12時間積算計以外にはほぼダメージはなく通常の分解掃除のみで大丈夫でした。
組み上げて振角300度、歩度0~+5秒程度で調整中です。30分積算計のハカマを少し調整して小針の高さを整えるなどしました。

つぎ!ハミルトンオートマETA2824
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水入りでお預かりしました。
非ねじこみ式のリューズですがリューズを引いたままにしていたせいで浸水したとのこと。
防水テストも10気圧防水クリアしていたのでそのまま作業へ入ります。
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内部の機械にはほとんど湿気の影響は見られませんでした。4番ホゾに少し摩耗痕が出ていたので磨きました。
分解掃除を終えて振角300度弱、歩度+5秒で調整中です。時計のケース径が42、3㎜くらい?とムーブメントに対してかなり大きく、それに応じて針も長い造りでした。
プレス打ち抜きのペナペナの針なのでクリアランスを意識して針ツケを行いました。

つぎ!ロレックスオイスターデイトcal1225
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ロレックスの手巻きムーブメント
止まるということでお預かりです。調べてみると秒カナと二番車の少し軋みがあったので研磨剤を使って磨きました。
無事抵抗感がなくなりスムーズに回転するようになりました。
あわせて秒カナを上から保持する抑えのバネも変形していたので補正を行いました。
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あとは出車の平ブレの補正など…
満足いったので最後まで組み上げました。
カレンダーまで組み、文字盤足の曲がりを補正している最中に終業時間になってしまいました。

休み明け火曜日はGMTマスター、古い手巻きクロノなど予定しています。
それではまた!

こんばんは三井堂です。
まずはジャガールクルトメモボックスcal814から
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手巻きのアラームウォッチ
先日やったcal489と構造は同じです。
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特に調整は必要な個所は必要ありませんでした。
アラーム用のゼンマイは外端が加工された形跡があり、かなりガタがきています。
組み上げて振角260度、歩度+10秒程度で調整中です。

動作チェック…を行おうとしたところでアラーム用のゼンマイが切れました。涙
外端部がT字型になっているので汎用のゼンマイは使えません。
鳴動時間も20秒と決まっているので小細工もできない(したくない)のでここは純正を手配して交換します。例によって国内在庫ないため海外から取り寄せです。
金額のすり合わせでお客さんと相談中です。

つぎ!カルティエタンクオートマETA2000
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小径のオートマムーブメント
オートマ伝え車の軸部に汚れが目立ちます。
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オートマユニット、一番ウケともにリベット固定された部品が多く、摩耗が進行していると一式交換になりますが大丈夫そうです。
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一度ざっと組んでみましたがイマイチ振りが良くないです。
アンクルの動きが少し渋いような…ちょっと縦アガキの調整などやってみます。
これは休み明けに回します。

つぎ!オメガコンステレーションクオーツ
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磁石と2枚歯になっているカレンダー送り車が使われているモデル
短針早送りができます。制御バネはないのですこし前後にブレがありますがあまり故障はないです。
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分解掃除を行って1.02μAでした。
リューズの劣化により防水が効かなくなっていたのでご了承を得て純正新品に交換を行いました。

つぎ!ノモスオリオンETA7001
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こちらもリューズの劣化により防水が効いていない状態でした。
たしか数年前に修理させていただいたときも非防水でご了承いただいていたと思います。
ちなみにノモスはメーカーでリューズ交換のみの部分修理やってくれます。
1年前に依頼した時は15,000円くらいでしたけど今はもう少し上がってそうです。

組み上げて振角300度、歩度+5~10秒で調整中。
ヒゲゼンマイにかなり偏りが出ていたので調整してよく精度が出てくれています。
しばらくランニングテストしていきます。


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セイコー63手巻き
オートマムーブから自動巻きユニットをとっぱらったやつです。
止まるということで修理です。
見てみると一番芯下部の摩耗により香箱全体が傾きウケに擦っている状態でした。
一番芯下部の摩耗の修正、一番芯アガキ造り
他アンクルの爪の噛み合いも深すぎてロスになっていたので少し爪を浅くしました。
組み上げて精度+10秒程度で調整中です。

今日はここまでで終業時間でした。
休み明け木曜日はタンクオートマの調整からやっていきます、それではまた!

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