三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

2022年07月

こんばんは三井堂です。
IMG_7242
GSは無事スリップ過多解消しました。GSは香箱内壁に切欠はないので摩耗の影響などはありませんが少し削れて地の真鍮部分が見えていました。
ゼンマイを取り出して内壁にグリスアップ、適切なスリップ状態になりました。
分解掃除を終えて振角300度程度、1日経過して+5秒程度で稼働中です。
中留バネも交換してシャッキリした感覚に戻りました。

つぎ!チュードル79230NcalMT5602
IMG_7245
ケニッシ社のムーブメント
41㎜径のブラックベイにもこれ載ってたんですね。41㎜径は2824で39㎜がケニッシかと思っていました。
パワーリザーブ72時間のムーブメントですが稼働時間が短いということでお預かりです。
稼働時間が短い原因は色々ありますが今回はオートマユニットの油切れによるローター巻き上げ不足のようです。
IMG_7248

IMG_7249
ロレックス式の切替車、分解できてメンテナンス性も高いので切替車式ならほぼ最適解の設計だと思います。

IMG_7246
ベース部分は十分油が残っている状態で、摩耗などもありませんでした。
余裕のあるスペースにしっかり摩耗対策などをした設計で非常に良さそうな機械でした。
分解掃除を行って振角300度、歩度+3秒程度で調整中。
稼働時間のチェックなど行っていきます。

つぎ!IWCマーク12cal884/2
IMG_7258
曇るということでお預かり
裏蓋パッキン劣化による防水不良でした。
IMG_7261
IMG_7262
油は乾いていましたが錆などはなくまずまずのコンディション
土手ピンが曲げられていたのでその調整とアンクルの噛み合いなど見直しました。
裏平の姿勢差が結構出ていましたがこの作業で改善しました。
ゼンマイがやや弱くなっている感じですが精度にふらつきもないのでこのまま少し様子を見てみます。
ルクルトのcal889がベースですが取り寄せるゼンマイが内端加工必須なので、必要なければこのままで…。

カレンダーまで組み終えてデイトジャスト、早送り機能まで確認できました。

今日はここまでで終業時間でした。休み明け月曜日はKS手巻き1stからの施工予定です。
既に一番芯の穴詰めと洗浄までは終えています。それではまた!

こんばんは三井堂です。
まずはロンジン手巻きcal410
IMG_7176
ゼンマイ切れの個体
海外から手配していて届いたので分解掃除です。
このT字エンドタイプのゼンマイが国内で手に入らなくなってきています。ebayサマサマ
IMG_7175
ロンジンでよくある?歯車が一つ多いタイプの手巻き機械です。
歯車を多くする意味はよくわかりませんが、巻き味も軽快で造りの良さを感じさせる機械です。
分解掃除を終えて振角270度程度、歩度+20秒程度での調整です。

つぎ!オメガシーマスターコーアクシャル
IMG_7196
2892ベースのコーアクシャルムーブメント
分解掃除でお預かりです。
IMG_7197
文字盤側のショックバネ、以前はバネの根本が地板の崖部分にちょうどかかっていたので、穴石を外すともれなくバネごと外れていましたが仕様変更されたようです。
こういうところがオメガやりますよねぇ。
IMG_7198
切替車、2番車のホゾに少し摩耗痕がありましたが再利用可能な範囲でした。
脱進器周りも非常に綺麗で問題なさそうなコンディションです。
洗浄後組み立てて振角270度程度、歩度+5秒程度で調整しています。

つぎ!グランドセイコーオートマ9S65
IMG_7200
切替車タイプの9Sオートマ
中留バネ交換と分解掃除でお預かりです。
IMG_7199
ネジを外せばちゃんと分解して交換できるのは良いところ
でも微調整穴はあと2個くらい追加してほしいです。
IMG_7201
IMG_7202
ゼンマイのスリッピングアタッチメントがあまり機能していないようです。
洗浄して内壁にグリスを塗布して感触を確認します。
とりあえず今日はここまでで、明日洗浄から開始です。
それではまた!






こんばんは三井堂です。
まずはオメガスピードマスターブロードアローcal3303
aa9aa3e7

FP1285ベースのオートマクロノ、コーアクシャル化はしていない通常のスイスレバーのものです。
分解掃除でお預かり
c4b46dee

秀逸な自動巻き機構、自社ムーブのcal8500も似たようなウィグワグ式ですが、華奢そうに見えて殆ど摩耗もせずまた巻き上げ効率も良いようです。

IMG_7154
IMG_7156
特に調整必要な個所などなく通常の分解掃除で対応可能でした。
組み上げて針ツケ後、少し針がズレるなどの症状があり、ハカマを少し詰めなおしました。
現在精度調整中です。
IMG_7167
念のためにとハカマを作ったついでにリューズのネジ抜きとケースチューブを造りました。
ケースのほうは錆を取って乾燥中。取り付けて防水検査します。

つぎはロレックスデイトジャストターノグラフcal3135
IMG_7149
IMG_7150
3番車のホゾを拡大したところ
他の部分は概ね綺麗でしたが、この部分だけ油が変質して少し表面が荒れていました。
もっと倍率の高い顕微鏡でシェイプの崩れがないことは確認できたのでポリッシュして再利用としました。
ゼンマイの力をダイレクトに受ける2番は軸も太く比較的丈夫ですが、次の3番は軸がいきなり細くなりやや弱い印象です。
IMG_7151
あとは通常の分解掃除で対応可能でした。
振角300度超、歩度+5秒程度で調整中。

つぎ!オメガスピードマスタートリプルカレンダーETA7751
IMG_7158
クロノグラフを稼働させると止まるということでお預かりです。
IMG_7165
ホイール下のクッションのポジションが少しずれており適切なアガキが確保されていなかったのが原因のようです。
本来は隙間に差し込んであるだけですがウケで挟んでしまっていました。
IMG_7160
ついでにオートマコハゼも先端部に摩耗が出ていたので交換しました。
オートマ切替車の動きを規制するバネですが、ローターの空転時に擦れるのでよく減ります。
減ると切替車の動きをロックできないので巻き上げ不良や供回りの原因になります。
IMG_7159
組み上げて振角300度超、歩度+3秒程度で調整中。
クロノグラフを稼働させてもほぼ振り落ちせず調子良さそうです。しばらくランニングテストしていきます。

つぎ!IWCドッペルクロノグラフ
IMG_7169
7750をベースにラップタイム計測用の構造を追加したもの
IMG_7170
ラップタイム計測用の第二のカム、通常のオペレーティングレバー、カムバネなど使われている点がグッドですよね。
余談ですが、当時の設計責任者のリチャードハブリングさんは自身のブランドでも同様の構造でスプリセットセコンドクロノをリリースしています。手巻き裏スケなのでよりモジュールが見えやすいです。
IMG_7171
IMG_7172
見慣れた光景になりました。
油はちらほら残っており分解掃除のみで大丈夫でした。
スプリットセコンドモジュールまで組みおえて振角300度程度、歩度も安定しています。
しっかりラップタイムの計測動作も確認できています。
残すは12時間積算計とカレンダーです。休み明け月曜日に続きをやっていきます。

それではまた!




こんばんは三井堂です。
まずはタグホイヤーカレラオートマクロノSW500から
IMG_7097
カレラのクロノも見た目ほぼそのままでセリタに移行しているんですね、初めて知りました。

水入りの個体ですが10気圧防水OKだったのでそのまま分解掃除へ
IMG_7096
セリタだから12時間積算計のストッパーも微妙に素材が違うようです。
IMG_7098
錆なども出ておらず良好な状態
2番のアガキなど多少調整してくみ上げ
最近エボーシュ系クロノに関してはゼンマイ交換こみでの分解掃除作業にしています。
が、新品のゼンマイに交換したら振り角が上がりすぎて振り当たりが出てしまいました。
アンクルの爪を調整して290度くらいまで振りを落とせたので、明日まで振角の変動がないかチェックしてそれから続きやります。

つぎ!ロレックスオイスターデイト
IMG_7111
古めのロレックス手巻き
IMG_7112
機械のほうは概ね問題なさそうでした。
少し2番車が痩せているのとツツカナが緩いのが気になりましたが
ツツカナは緩すぎると時計と針の動きがずれ込む置き回りという症状が出ますが、ギリギリ大丈夫でしょう。
なんか2番だけ変に人の手が入っている感じがあって危ない匂いがするんでリスク回避で
組み上げて振角270度程度、歩度+10秒くらいで調整中です。

この個体は社外ブレスの弓カン部の修正もやっておきました。
かなり凹みが出ていましたが結構良い感じになりました。
弓カンだけ交換リクエストで、ジェランチャのブレスを取り寄せていたんですが弓カンのブレス接続部とのサイズが合わず…
元のブレスはダメ元でやってみたら結構うまくいったので一回これで見てもらおうと思います。
IMG_7148


つぎ!セイコーマチックP5106A
IMG_7145
マチックP
リューズ頭の角部をプッシュするとカレンダーの早送りができます。
pushの頭文字PでマチックPらしい、本当かな?

ちなみにリューズ不良で既に別のリューズに交換されています。一応プッシュで日付は変わりますけどね。
IMG_7142
IMG_7144
曜日と日付つけるだけでなんでこんなにややこしい構造になるんでしょう
瞬間日送り+プッシュ式のカレンダー早送り
カレンダー切り替わり不良の個体でしたが、瞬間日送り部の油切れと固着によるものでした。

手巻きの空回り不具合は輪列ウケのネジが1本緩み、吉車と丸穴の連結が外れているのが原因。
存外軽微な状態でよかったです。
分解掃除を終えてカレンダーの動きの確認まで終えたところ
振角は270度程度でまずまず、手巻きも重くなりがちな古いセイコーのオートマですが軽快な感触に戻りました。
明日針ツケして精度調整の予定。

というわけでおやすみなさい。











こんばんは三井堂です。
シーマスターコーアクシャルは恙無く分解掃除を終えて針ツケまで終えたところです。
お客さんのお話で文字盤夜光が何回か取れたことがあるとのこと、今回は湿気も入っているのでチェックしてみると半分くらいはぽろっと取れたので全て再接着してあります。

ケースの仕上げが終わったらケースに収めてランニングテストしていきます。
振角280度程度、歩度はケーシングしてから調整します。

つぎ!ロレックスデイトジャストcal3135
IMG_7065
IMG_7076
三番車 やや減っていますね。
調子の良い機械ですが意外とこれが致命傷になることもあります。
今回は止まるということでお預かりで他の部分にも瑕疵が見つからなかったため、交換対応としました。
分解掃除、3番交換にて終了
ケーシングまで終えてランニングテストしていきます。

つぎノモスタンジェントETA7001改
IMG_7077
ETA7001、トリオビス緩急芯+ハック機能つきのムーブメントです。
IMG_7078
湿気の影響かテンプのウケネジは特に痛みが出ていたので少し仕上げなおして青焼きしました。
機械部分は特に問題なく通常の分解掃除で対応可能でした。
分解掃除を終えて歩度+5秒程度で調整中。
秒針ハカマがやや緩くなっていたので調整してケーシングまで終えてあります。

つぎ!ウブロMDMオートマクロノ
IMG_7082
ビバー氏が関わる前のウブロ
機械は2892ベースの2階建てですね。
IMG_7081
デュボアデプラ製モジュール
珍しく文字盤直下にカレンダーがついているタイプです。ベースムーブメントのカレンダーの動きを中間車を経由して伝えます。
このカレンダーが微妙にズレが出ているのが気になります。油が乾いてベースのほうの位置決めのバネがうまくドロップしていない可能性もあるのでとりあえず保留でバラします。
IMG_7084
とても綺麗ですね。
秒カナ抑えのバネが少し弱いので調整しました。
IMG_7085
ゼンマイ切れの影響などはなし
一番ウケに少々油切れ、摩耗痕がありましたが問題ないと思います。
洗浄とエピラム処理までして今日は終業時間でした。

休み明け木曜日はウブロの続き、タグホイヤーカレラ1887の予定
それではまた!


このページのトップヘ