おはようございます三井堂です。
まずはティソクロノの調整から
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30分積算計のハカマがゆるくなっていて針が文字盤に接触してしまうのでカシメなおしました。
横にあるのはツツカナ調整用の工具、ハカマの調整にも使えます。
ネジで可動域が調整できるのでつぶしてしまう心配もなくて安心です。
今回はハカマを再利用しましたが今後はやはり厳しいでしょう。ハカマ別作、オリジナルに拘らなければ社外針の加工などで対応可能です。
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リューズももう少し調整して結構よくなったんじゃないでしょうか
巻きやすさは当社比1.5倍(謙虚) リューズのふらつきもありません。

つぎ!オメガコンステレーショングローブマスターcal8900
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購入後1年半、雨の日に着用で湿気混入とのことでOHでお預かりです。
防水検査で規定の防水性能は確認できたのでこのままOHです。
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やはり中央シャフト付近には少し湿気の痕跡が見られました。
とりあえずは錆などないようで一安心。
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慣れてきたせいか部品点数も少なく感じます。
脱進器まわりのトラブルもなく通常の分解掃除でOKでした。2日稼働させて+5秒程度の稼働状況です。もうしばらくランニングテストしていきます。

つぎ!オメガスピードマスターオートマ
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少し前に分解掃除して精度調整を続けていましたが調子が悪いのでなんどかバラしているものです。
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防水が効いておらずクロノグラフモジュールの様々な部品に緑青が出ており、それの洗浄が不十分で調子が出ていませんでした。
薬剤処理と超音波洗浄→十分な乾燥を行いました、地板のベリリウムカッパー製のポストも少し焼け付いていたのでスムージング
ベースムーブメント振角270度→モジュール合体で振角250度と性能も復帰しました。
リセットで針がずれる不具合も同時に修正してあります。

リューズ交換と裏蓋パッキン交換を行い3気圧防水まで確保できています。ケーシングしてランニングテストしていきます。

つぎ!セイコーロードマーベルハイビート
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店売用のロードマーベル
風防合わせに出している途中、先に機械のほうを仕上げてしまいます。
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10振動のハイビートムーブメント、強力なゼンマイが使われているので香箱とその上下のウケ穴が減りやすい傾向にあります。
この個体もかなり良好な状態でしたが一番芯下部のウケ穴に摩耗が見られたので修正を行いました。

ゼンマイも中心部に変形が見られたので念のため交換しました。
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OHを終えた後の機械
ウケ石に油が充填されているのが見えると思います。
文字盤と針つけまで終えて姿勢差がないところまではテスターで確認済です。これ以上はケーシングを行ってから調整していきます。

つぎ!IWC手巻きcal89
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OH前の状態確認です。
秒カナ抑えの調整用のネジがなくなっており接着で固定されています。
某有名アンティークショップで購入したものとのことでした、1分以上遅れるのでとOHでお持ち込みいただきましたが…
あまり素性の良い個体とは言えないです。
精度不良の主な原因はここの秒カナ抑え、摩耗しきった2番車です。
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幸いエポキシ系の接着剤だったのでアルコールで部品を傷つけることなく除去することができました。
秒カナ抑えの部品は8000円程度で海外より手配可能ですが、二番車が手配できるか微妙なところです
休み明けに部品屋に聞いてみますが厳しいかもしれません。
一応上下のウケはメタルなので、二番車をがっつり削ってテーパーになっているのを慣らしてあげて、ウケの穴をタガネでつぶしていけばトルクは安定すると思いますがあまりやりたい作業ではありません。
必要十分な太さのホゾに作ってあるので、細くなれば主ゼンマイのトルクに耐えきれずに長期間の使用は難しいでしょう。

2番車が個別に手配できなければムーブメント丸ごとで手配することも視野に入れながら動いていこうと思います。
いったん保留です。

とりあえず休み前火曜日までの仕事でした。
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休み明け木曜日はロレックスデイトナの施工からです。
秒針が取れてしまい、OHと秒針再セットのご依頼です。
事前のお見積りの段階で秒針のハカマが緩んでいるのは確認しています。ここでもツツカナ調整工具の出番ですね。
秒針なので詰め方もそこまでシビアにしなくても大丈夫ですが。

それではまた!