三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

カテゴリ: オリエント

こんにちは三井堂です。
まずはオメガジュネーブオートマ(cal565)から
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550系のオートマ、非クロノメーター規格のムーブメント(クロノメーターは564)ですが数字の並びが綺麗なので好きです。
店売予定のものですが非常に綺麗ですね、ネジも組み立て時のものと思われる軽いゆがみしか見られず美しい状態です。
ウケに酸化による軽い変色が見られるのでこれは薬剤処理できれいにします。
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まったくといって良いほど摩耗のないデッドコンディションでした。
香箱内壁の摩耗は以後心配なので、ゼンマイを取り出してから内壁にグリスを塗布して巻きなおしてあります。
ゼンマイは一回取り出すと寿命が10年短くなるらしいですが、切れたゼンマイは替えればいいですが香箱の交換は難しいので…。
やはり一回ゼンマイを取り出してしっかり香箱内壁のケアをするのが大事だと思います。

組み上げて現在精度調整中、歩度+10秒程度で調整中です。

つぎ!オリエントスターオートマ
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スケルトン仕様のオートマ
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中抜きされたパーツで本剣車のズレがないようにしてあります
インジケーターとスモセコつき
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マジックレバー式のオートマで手巻き機能はついていません
一番芯受けが特に摩耗していたので修正してあります。
他部品は大体綺麗でした。
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分解掃除を終えてインジケーター針をつけて針の動きを見ているところです。
チェックできたらケーシングして精度を調整していきます。

今日はロレックス2本、古いゼニスを施工予定です、それではまた!







台風が近づいてますね、落下しそうな看板の撤去も先日無事済んだので今は心穏やかです。
ブログの更新ですが、仕事もそれ以外もバタバタしていて中々更新できませんでした。
ひと段落ついたかと言われると微妙なところなんですが、更新しない習慣がついてしまうといけないので…。


さて、最近の仕事をいくつか。
まずはシチズンクロノメーター
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OHとチューブあわせでお預かりでしたが、リューズが純正でない為リューズも合わせて交換することに。
ようやく合ったと思ったら今度はウラオサエの腕が折れているという曰くつき!?の品です。
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アンクルウケにも保油機構があります。国産のものは結構最近までアンクルホゾには注油するものとされてきました。
ちなみに現在ではウケが人口ルビーのものに限っては注油しないものとされています。アンクルの力が弱すぎて油さえも抵抗になるという理由からです。
アンクルがガンギ車の歯を蹴る力はノミの跳ぶ力4匹分だそうな。わかり易いんだかにくいんだかよくわかりませんが、きっと力学の世界ではメジャーな表現の仕方なんでしょう。

機械自体はまずまず良い状態だったと思います。さすがにGSより当時の定価が高かっただけあってしっかり作りこんであります。
テンプの片振りを調整して精度調整まで終えてお客様に出来上がり連絡済みです。
お時間がかかって申し訳ありませんでした。

つぎ!オリエント手巻き
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いやこいつが本当に笑っちゃうくらい難物で・・・。
テンプウケあわせても5石くらいで、脱進機がスイスレバーになっただけのほぼピンレバーレベルの機械です。
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リューズを引くのが硬いのと遅れ気味ということでお預かり。
リューズ操作はオシドリ下にサビが出ていること、オシドリかオシドリネジが不適切なものを使用しているせいで地板に擦れているのが原因でした。
あわせていくのは大変なのでサビ取りとスムーシングで対応してかなりマシになりました。

機械部分は通常のOHをしただけではぜんぜんダメで、まずヒゲゼンマイを取り外してテンワと振りつばだけの状態にします。
そこからテンワ自体の片重り(重さに偏りがあるかどうか)のチェックです。
瑪瑙(ものによっては人口ルビー)の台の上に天真だけを掛けるようにして乗せて、塵ふきで優しく回転させます。
すると空気抵抗で徐々に回転は弱まりいずれは停止しますが、その際にいつも同じ場所で停止すればその部分がほかの部分より重いということ、いつも違う場所なら偏りがないということで、その検査を行って必要であればバランスをとる作業(チラネジを引っ込めたりねじ込んだり、ちら座を足したり、あるいはテンワ自体を削ったり)を行います。

今回は以前の作業で大分テンワ自体を削ってあり、逆の3時下が重くなっていたのでその部分を削ってバランスをとりました。
姿勢差は良い感じになりましたが振りがイマイチな状態なので、これからゼンマイをあわせて交換予定です。
まだまだ手がかかりそうです。

さて、次
オメガマチック(cal1400)
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これはなかなかのレアものですよ、私も初めて見ました。
セイコーのAGSに対抗してETA社が急いで作ったものです。
2824のオートマ機構に2000の裏輪列、クオーツの表輪列にキャパシタと回路…みたいな造りです。
面白いですね。
ローターの回転によって生み出した力を電力としてキャパシタに蓄えて時計を動かす・・・的な仕組みです。
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幸い機械部分はウラオサエの腕が折れているだけで、特にほかに問題はありませんでした。
ウラオサエは2000のものが互換性があるのでそちらと交換、キャパシタも無事手配できました。
こんな具合でまだまだ修理対応は可能なので、お持ちの方はご安心くださいませ。

とまぁ大体こんなところです、時間を縫ってほかの修理も沢山やっているんですが時間はほぼほぼオリエントに費やしています、大変。
今日は午後からデイトジャストのOH予定です、それではまた・・・!

あ、そういえばインスタのフォロワー40人突破しました笑ありがとうございます!
ぜんぜん更新してなくて恐縮ですが、今日変わり文字版のクロノス載せたのでよかったらチェックしてみてください。
では!



おはようございます。
まずはラドーのオートマ(ETA2783)から
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ちょっと古めのETAですね、綺麗な機械でぱっと見た感じ状態はよさそうです。
動品でしたので分解前に歩度を計測すると、姿勢差が50秒以上ある状態で等時性もかなり乱れた状態でした。
ヒゲを見てみるとかなり外側に当て気味でしたので修正。あとはヒゲ全体の形を整えました。
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ヒゲの修正を行ってから部品の磨耗をチェックしつつ分解します。
二番車、三番車、オートマ切替車にやや磨耗痕がありましたので研磨で対処します。年代を考えれば本当に極々軽微なものです。
一番芯ウケにも軽い磨耗がありました、一番力のかかる方向にほんの少しですがこちらもしっかり修正していきます。

組み上げて振角270度程度、最大姿勢差5秒以内と良いコンディションに仕上がりました。自動巻きなのであまり考慮する必要はないですが、等時性もよく出ています。

つぎ!カシオクオーツ
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社長の課題シリーズです。
僕がオリエントのクオーツが苦手なのを知っていて、あえて方向性の似たクオーツだからやってみろとのことでした。

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写真撮り忘れてしまったんですが、歯車をはずしていってプラスチックのプレートの下になが~いカンヌキ兼ハックレバーが入ります。確かにオリエントっぽい笑
とはいえ僕もそこそこ経験を積みましたからね、この程度だったらちょちょいのちょいやで!
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洗浄して組み上げて消費電流1.0μAです、三針なので十分合格点ですね。

あぁそういえばヴァシュロンのゼンマイ交換も済ませました。ゼンマイの上下に突起がついていてそれが香箱の穴にハマり固定される仕組みになっています。交換して組み上げました。
ヒゲの調整も殆どする必要がなく4姿勢でどれも+10秒程度に調整できました。さすがですねぇ。
まぁヴァシュロンユーザーが10秒20秒の誤差を気にするか?といえば微妙なところですが…笑

そんなわけで昨日はそこそこ修理の捗った一日でした。
今日はセイコー56LM、オメガシーマスターcal1020を施工予定です。
それでは!

こんばんは。
まずはオリエントスターオートマから
GMT機能とパワーインジケータ、デイト機能がついています。
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インデックス貼りで最初お預かりしたんですが、精度が酷かったのでOHを行うことになりました。
構造を把握しつつバラしていきます。
油はすっかり乾いている状態でした。自動巻きオンリーモデルにありがちな一番芯ウケ上部の摩耗が見られました。こちらはしっかり修正していきます。
他部分は摩耗もなく良いコンディションでした。
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洗浄して組みあげ、振角250度程度、歩度も1桁秒台で安定しています。
インジケータの動きを確認した後にワインダーにかけつつ精度調整していきます。

つぎ!ランデロン搭載クロノ
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このブログでの掲載ははじめてかもしれません。
こないだまで垂直クラッチ方式が続きましたがこちらは水平クラッチ方式です。
左上の大きなアーム(カップリングクラッチ)が動いて真ん中のクロノグラフホイールと連結することでクロノグラフが稼働します。

普通のクロノグラフは右上のボタンでスタートとストップ、右下のボタンでリセットという動作ですが、このモデルはストップが右下のボタンで行われます。
つまりスタートからリセットまでの手順は右上→右下→右下となるわけですね。(わかりづらい)

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構造としてはかなーりシンプルです。
摩耗をチェックしつつバラしていきます。耐震装置もないですよ、穴石も最小限です。
一番芯上下ウケ穴、二番上下ホゾ穴の摩耗がありましたのでそちらを補正しました。各部のアガキも適正範囲内で良い状態です。
輪列の油は乾いていましたが、テンプの上下穴石の油は完全に残った状態で、香箱の中もキレイだったので殆ど使ってなかったのかもしれません。それかテンプ上下とアンクル爪だけ注油したとかか。

洗浄して組み上げていきます。
出車の平ブレを取りつつ、クロノグラフの噛みあいをチェックしていきます。
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振角300度超、歩度も+10秒くらいで調整しました。姿勢差も皆無です…。めちゃめちゃ調子出ますねぇ。
ランデロンというと廉価なイメージがありますが、クロノグラフ機構の段付きネジがクリアランスがしっかり確保されているおかげでまったく調整いらずの良い個体でした。

お察しの方もいるかもしれませんが店売予定の品です。
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写真じゃあまり伝わらないんですが、針とインデックスがピンクゴールドっぽい金なんですよ。いや多分劣化でそうなってると思うんですけど。それが凄く良い雰囲気出してるのでそれと調和するようにウマイ事ケースメッキしてもらう予定です。
風防も交換します。バンドも良い雰囲気のもの探しておきます。

仕上がりは2週間くらい先になると思いますのでそれまでにバシっと精度も仕上げておきますね。価格は多分10万円ちょっとはみ出るくらいでしょうか。お楽しみにー。


腕時計の修理もそろそろ数が落ち着いてきたので柱時計の修理始められるかな?2月中にはやりたいところです。
それじゃまた明日!

昨日は7750を組んだ後調子悪い時計の再調整を行っていました。

さて、今日はオメガレイルマスターコーアクシャルから
ETA2892をベースにコーアクシャル機構が組み込まれたモデルですね。
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OHは5年前でした。
オートマ機構、ベースキャリバーともに摩耗もなく良い状態でした。
コハゼバネの効きが弱くなっていて巻き上げができなくなっていたので、バネを強めに再調整してOH完了。
振角300°以上、姿勢差もほぼありませんでした。さすがに気合入れて作ってありますね、良い機械です。

つぎ!オリエントオートマ
手巻きのないモデルです。
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簡素な機械です、ネジの数も最小限になるように工夫?して設計されています。
実用品としてはこういう仕上げでも全然問題ないと思うんですけどね、これで裏スケにしちゃいかんよね…。
オートマはマジックレバー式、洗浄を済ませて組み上げと注油を行いました。
振角も270°、歩度もまずまずといったところです。
しばらくランニングテストをおこないます。

突然ですが、この文字盤に書いてある国、どこかわかりますか?
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ノータイムで分かったらスゴイ!(ちなみに私はわかりませんでした)

こたえはvietnamです。
統一40周年記念モデルらしいです。こんな変り文字盤も面白いですね。

さて!あまった時間でロレックスcal3130をバラしたところで終業時間になりました。
木曜日はエクスプローラー1(cal3130)から施工予定です。
それではまた休み明け木曜日に!





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