三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

カテゴリ: IWC

こんばんは三井堂です。
まずはキングセイコーcal4502から
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10振動ハイビートの手巻きキャリバーです。
根強い人気のある機械です。
ゼンマイが強すぎる弊害で歯車が減りやすかったりしますが良い機械だと思います。
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ヒゲゼンマイを調整しているところ
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デイトジャスト機構
S字型のバネにデイトジャンパーを引っかけて板を送っていく仕組み
非常に組みづらい
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幸い歯車はすべて再利用可能でした。
組み上げて振角250度程度、歩度+10秒弱で調整中です。

つぎ!カルティエパシャオートマビッグデイト
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ビッグデイトモジュールつきのETA2892
前回OHから6年経過とのこと。
事前の見積もりの段階で香箱内壁摩耗のため香箱を交換をおすすめしました。
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ビッグデイトモジュール
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2層構造になっているディスクでそれぞれビッグデイトを動かします。
特になにも考えなくても組める非常にシンプルな造りで〇
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中央のシャフト部
経年で少し油切れが進んでいます。
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分解掃除と香箱交換を行いました。
振角300度、歩度+5秒で調整中。
ビッグデイトの動作も確認済。

つぎ!IWCポートフィノref3513(ETA2892)
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ローター外周部に汚れがかなり目立ちますね。
表面のメッキか処理が湿気で変化したもののようです。
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裏側にもびっしり
この汚れのせいでローター、機械ともに不動でした。
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オートマユニットを外した途端元気にテンプが振り出しました。
下は比較的綺麗ですがところどころ汚れや錆が目立つのでしっかり除去します。
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防水は効かなくても良いとのことでしたが
ローターと機械の汚れ錆除去と夜光の塗りなおしを行います。
元はトリチウムで少し焼けていたと思いますが、湿気の影響で真緑に変色していました。
リクエストにより白色へ…。

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カレンダー早送り車の破損と、それにともなうカレンダー歯の痛みがでていたので交換と修正をしてあります。
組み上げて振角300度、歩度+5秒程度で調整中。
洗浄を終えたケースに収めてランニングテスト中です。

明日金曜日はスピードマスターオートマから施工予定です。
それではまた!



こんばんは三井堂です。
まずはIWC手巻きcal89から
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以前cal89を修理させていただいたお客さんから別の個体をOHでお預かりです。
今回の個体は非常に良いですね。
ゼンマイも純正のものが使われており、歯車の摩耗もほとんどなし、各部の部品のアガキも適正なものでした。
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秒針と長針のクリアランスが大分厳しめで、ハカマの調整だけでは厳しい状態でした。
縦アガキに余裕があったので秒カナウケの石を少し動かして、秒針の取り付け位置は少し上目にセッティングして綺麗に針が取り付けられるようになりました。

ケースに収めた状態で振角300度超、歩度+5~10秒程度で調整中。
1日稼働させて+6秒でした。ここから10日から2週間程度ランニングテストしていく予定です。

つぎ!ティファニー角型手巻き(ETA1000)
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ウィットナー社の刻印あり
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裏にはETAの刻印があり、調べてみるとcal1000という古い手巻きの機械でした。
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部品に摩耗はありませんでしたが、3番車の軸のカシメがゆるんでいたこと、歯に平ブレが起きていたので修正作業を行いました。
ヒゲゼンマイを外端で挟むヒゲ棒の修正作業も後に行っています。
組み上げて振角230度程度、ここから精度を追い込んでいきます。

つぎ!ロレックスデイトジャストcal1570
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分解掃除と秒針の仕上げなおしでお預かりです。
秒針は軽く腐食しており再メッキでご案内していましたが、下地仕上げのバフ研磨で綺麗になったのでこれでお渡し予定です。
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珍しい秒針停止つきのモデル
コンディションは非常に良好でした。香箱回りに少し鉄粉が出ていましたが摩耗も問題ないレベルです。
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今日はオートマユニット下まで組んで終業でした。
休み明け木曜日はデイトジャストの続きから
それではまた!


こんばんは三井堂です。
まずはセイコーキングクオーツ(08系)から
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古いセイコークオーツです。
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人工ルビーの爪
四番車を横から規制し、インデックスに対して正確に運針するようにしています。
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例によって噛み合いを調整できるようになっており、微妙な調整が必要らしいです。
この個体はバネが反るくらい強かったので後で調整していきます。
バネが弱いと秒針が滑り、強いとすぐ止まります。

ステップローターとステーターがモジュール化されている珍しい構造です。
ステーターの歪みは動作不良に直結するのであまり嬉しくないですが…
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文字盤側もかなり凝った構造です。
裏抑え回りなんかは独特です。
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軽い錆の粉などや鉄粉などの混入以外は概ね良い状態だったと思います。
ちょっと入り組んだ構造なので少し組み立てに手こずりましたが問題なく稼働するようになりました。
四番規制バネを弱めにセッティングしなおして1秒の狂いもなく稼働中。
超音波洗浄を済ませたケースに収めてもうしばらくランニングテストしていきます。

つぎ!オーデマピゲコブラオートマ(cal2121)
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リューズ交換と分解掃除でお預かりです。
リューズ合わせのためにローターは既に外しています。
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ベースムーブメントはルクルト製cal920
スイッチングロッカー式の自動巻きで非常に薄い造りです。
ローターのクリアランスがギリギリの為、外周には4つの人工ルビー製のローラーを配し、地板への接触対策を行っています。
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カレンダーのジャンパーも薄さのために地板側に軸などを造らず、ジャンパーに人工ルビーを取り付け、カレンダーウケ側の切り欠きを動くという仕組み。
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幸い通常の分解掃除のみで対応可能でした。
部品交換が必要になるとちょっと大変かもしれません。
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ケースに収めてローターをクリップで取り付けたところ。
分解掃除後振角260度、歩度+7,8秒で調整中です。

つぎ!IWCポルトギーゼクロノグラフ(cal79350)
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パタッと止まってしまったということでお預かりです。
この縦2つ目のIWCが止まったら、ゼンマイやネジ外れ以外での原因はほぼスモセコモジュールに起因すると言っていいと思います。
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秒カナが飛ぶのを防止するようの板ばねの油が乾くと一発で止まります。
その証拠にモジュールを取り外したらすぐに動き出しました。
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そのほかの摩耗箇所や調整不足箇所はありませんでした。
今日はバラシと洗浄まで行って組み立ては明日に回します。
それではまた!





こんばんは三井堂です。
まずはロレックスデイトジャストcal3135から
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油が乾いた状態で使っていたため摩耗してしまった切替車とオートマ伝え車
手巻き時に空回りするために動くカムの軸部のウケがガタガタになってしまっています。
こうなってしまうと交換対象になります。
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オートマユニット↓はおおむね綺麗な状態
特に交換が必要な部品もなく、ヒゲゼンマイの調整のみでした。
組み上げて振角300度弱、歩度+5秒で調整中。

つぎ!ブライトリングコルトオートマ(ETA2824)
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ETA社の代表的なオートマムーブメント
スイス機械式ムーブメントのデファクトスタンダードともいわれています。
今でこそパワーリザーブがやや物足りないですが精度や稼働の安定性などは素晴らしいです。
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ゼンマイがきれているということで、ゼンマイ交換と分解掃除でお預かりです。
ゼンマイが強いので切れた時の衝撃が心配でしたが歯車にはダメージなしでした。
ウィークポイントである丸穴、ギチ部分の摩耗もありませんでした。

香箱のアガキの調整、それにともなう一番芯のアガキの調整を行いました。
分解掃除を行って振角290度弱、歩度+5秒程度で調整中です。
防水検査と外装研磨を行ったケースに収めてランニングテストいきです。

つぎ!IWCフリーガークロノグラフメカクオーツ
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ジャガールクルト製メカクオーツムーブメントcal630搭載モデルです。
これまたマニアックな時計だと思います。37㎜径のサイズ感がgood
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駆動はクオーツ、クロノ機構はメカニカルというハイブリッドなやつです。
直接ハートカムをたたいてリセットするので、全て回路で制御するクオーツクロノと比べると帰零が一瞬で行われる点、あとはスタートストップ時のカムの感触がちゃんとあることが違う点でしょうか。
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半年くらい前にやったフレデリックピゲ社製のクオーツクロノよりかはよっぽどわかりやすいですね。
構造もかなりルクルト的な感じがします。

機械式クロノをやり慣れている人ほど頭の切り替えが難しいんですけど
スタートストップは電気的に、リセットは電気と物理同時に行うという点
ついでに秒針停止機構もちゃっかり紛れ込んでいるので、そこも忘れずに意識しておくとくみ間違いが起きづらいです。
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ややこしいので部品は各機能ごとに小分けに…
内部には湿気の影響なども見られず良い状態でした。
組み上げてクロノの動作、秒針ハック、カレンダーの状態をチェックして終えたところです。
ちゃんと機能してよかった…!
あとは針を取り付けてケーシングして終わりです。
つづきはあした!それではまた~。










おはようございます三井堂です。
エルプリは無事ねじが届きましてすでに組み込んでランニングテストをしております。
精度も上々、稼働時間も申し分ないです。
交換した中留バネが強かったので少し短く加工しなおしました。

つぎはお持ち込みいただいたロンジンの懐中時計
落とした衝撃で風防が外れ針が曲がってしまったとのこと
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実は針の曲げなおしは結構得意です。
OHも一緒にお預かりしているので、細かな調整などはOH後の針の取り付け時にしたいと思います。

つぎ!クイーンセイコー手巻き
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小ぶりながら23石のムーブメント
OHとバンド交換でお預かりです。
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特に摩耗箇所などもなく通常の分解掃除で対応可能でした。
ケース構造上、水と埃にはよわいのでそこだけ注意が必要です。
組み上げて振角250度、歩度+10秒程度です。現在ランニングテスト中。

つぎ!セイコーローレル手巻き
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マーベルの廉価版のムーブメントをつかっています。
テンワの色が珍しいですね、こんな仕様あったっけかな?
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一番芯上下の摩耗の修正、ヒゲゼンマイの形状修正を行いました。
分解掃除後問題なく稼働中
ただし古いもので少し針のブレがあるので針のクリアランスの調整が難しそうです。
風防合わせから戻ってきたら調整していきます。

つぎはIWCcal8531
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店売用でバラしていましたが時間がなくて作業をストップしていたものです。
カレンダーつきですが8541とは違ってカレンダーの早送りがないこと、カレンダーが寄り目になっていてより中心に近いのが特徴です。

少し錆などが出ていましたがホゾなどの重要箇所には出ていなかったので良かったです。
他一番芯下部の摩耗の修正などを行いました。
組み上げて振角260度、歩度+10秒で調整中です。
これまた針のクリアランスがシビアなのでしっかり調整していきます、それではまた!


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