三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

カテゴリ: ウォルサム

おはようございます三井堂です。
今日は歯医者に行くのでお休みをいただいています。
行くまでの時間に昨日分の仕事の更新です。

まずはオメガスピードマスターオートマの続き
IMG_1524
IMG_1525
比較的綺麗な状態ですが少し湿気の影響が見られます。
プッシャー付近の部品に錆が出ているのは、プッシャー内部のグリスの乾きにより動きが渋くなり空隙が生じて軽く湿気混入と推測しています。
一応グリスアップして動きの改善と防水性能の確認をしています。

錆びた部分は表面的な部分なので強度を損なわない程度に削って錆を落としました。
IMG_1526
見慣れた光景・・・
ネジの形状を覚えているので分け方は適当です。
組み上げて振角250程度、歩度+10秒弱
リセットもちゃんと機能しています。

つぎ!グランドセイコー8J56
IMG_1531
9Fの1世代前の機械
ベースの8J自体はドルチェからGSクレドールまで幅広く使われていました。
ただし日付と短針早送りがついているのはGSクレドールのみです。
IMG_1529
セイコーらしいカレンダー回り
本剣車の右上が短針早送りを司る歯車ですが、よく壊れている個体があります。
この個体は大丈夫ですがしっかり洗浄とグリスアップします。
IMG_1530

IMG_1532
歴代セイコークオーツの中でもトップ5に入る組みづらい機械
IMG_1533
裏回りの不安定さ、ハックレバーの建付けの悪さが酷いです。
後年になると黒いプラ製の抑えに固定穴が一つ追加されやや改善されています。
IMG_1535
バラバラになりました
クオーツとはいえ構成部品は結構多め、したがって油をさす場所も多いです。
多寡の調整は当然のことながら機能や動きを意識して注油していきます。

組み上げて消費電流0.89μA
外装研磨を施したケースに収めてテスト中です。

つぎ!ウォルサム手巻き
IMG_1536
アシルト社製の手巻き
中三針の機械になります。
店売用のものですが巻き芯や機械部分に錆などもなく非常に綺麗です。
IMG_1537
さすがに一番芯上下には摩耗があったので調整してあります。
他殆ど使用痕がなく綺麗なものです。
振角300度弱、歩度+10秒程度で調整中。
IMG_1538
ケーシングしたところ、ほんの少し腐食がありますが上から金メッキをかけなおしてあるので進行は抑えられるかと思います。
裏蓋にはmade in USAの刻印 いまとなっては珍しい刻印かもしれません
中はスイス製の機械、ウォルサムは1954年からスイス製の機械を載せるようになったので、ムーブメントの年代と併せて考えるに1954~60年ごろの時計だと推測します。
IMG_1539
年代を考えればまずまず美品でしょうか、針は少し酸化反応かメッキ剥がれか変色が見られますが文字盤との調和を考えてこのままにします。
しばらくランニングテストして販売予定です。

次の出勤は月曜日です、それではまた!





こんばんは、三井堂です。
まずはウォルサム手巻きcal750-B
店売予定です。
IMG_1282
表の画像を撮り忘れてしまいました…
こちらは文字盤側、金色のプラスネジが2つ見えますが、表の土手ピンとリンクしておりアンクルの可動域の調整ができます。
IMG_1283
土手ピンの調整によって片振りの調整や振り角の調整などができますが、姿勢差の原因にもなるのであまり触れません。
片振りはOH前で3.0msほど出ていたので調整して1.0ms以下にしてあります。

IMG_1285
ヒゲゼンマイの偏心の調整、水平出しを行っています。
他ほとんど摩耗箇所などなく良いコンディションでした。
精度調整の過程で緩急芯で調整しきれないのでヒゲ棒を調整して、振角300度、少々姿勢差は残っていますが平で±0秒、立姿勢を考慮しても30秒弱で調整できそうです。
IMG_1291
IMG_1295
私物との比較
サイズは23㎜*35mm程度でしょうか
男性がつけても問題ないサイズ感だと思います。金ケースなので多少小さ目のほうがサマになりそうです。
バンド幅は16㎜、明るい茶色のオーストリッチを取り付ける予定で現在取り寄せ中。
精度調整含めて仕上がったらインスタHPにアップ予定です。

つぎ!セイコースポーツマチックデラックス(cal7619)
こちらも店売品
IMG_1287
亀戸工場製のcal76系
ベースキャリバーは薄型手巻きのセイコーチャンピオンからの設計流用、上にマジックレバー機構を載せたものになります。
マジックレバーは諏訪の66系と同一の構造です。
IMG_1288
IMG_1286
油は各部乾いていましたが摩耗はありませんでした。前回の施工で一番減りやすい香箱の上下ウケは補正されていました。
特に上部のウケが非常に薄くて減りやすいんですけどね。
IMG_1289
歯車、マジックレバーの爪など摩耗もなく良い状態でした。
組み上げて振角250度、歩度+15秒程度で調整中です。

明日はシーマ手巻き、IWCオートマの仕上げ作業を行う予定です。
それではまた!









おはようございます。
まずはセイコーレトログラードを終わらせました。
振角、精度ともに良好です。しばらくランニングテストさせます。

次!
ウォルサムオートマ(AS1862)
IMG_0017
水入りでお預かりのウォルサムです。事前に防水検査を行ったところ、生活防水程度も防水性がなかったので、今後は非防水時計としてお使いいただくことを了承いただいた上で施工です。

片側巻き上げ切替車式のオートマチックです、前回の施工は13年前。
油はすっかり乾いていましたが目立つ摩耗などはなく良い感じです。
IMG_0018
IMG_0019
めちゃくちゃに良くできた機械です。ローターウケが外せるようになっており、4番の穴石が顔を出します。注油をしっかり意識した構造です。
カレンダーもパシャンと小気味よく変わりますよ。
IMG_0021
セイコーの56と同じように二番車にマサツカナが取り付けられています。
IMG_0022
このように分離できるようになっており、これをしっかり洗浄注油しないと剣送りの感覚が重くなってしまいます。
IMG_0024
切替車も非常にしっかりとした構造で切替コハゼも重厚な造り…良い機械です。
この機械はラドーやウォルサムに搭載されていたようですが、いかに素晴らしい機械を作っても載せてくれるメーカーがいなければ意味がないんですよね…。
エボーシュメーカーのつらいところです。
組み上げて振角300度弱、歩度はとりあえず+15秒くらいで調整中です。
しばらくランニングテストを行って精度を詰めていきます、お渡しは2週間後の予定です。

つぎ!レベルソデイト
IMG_0025
まずはケースをばらすところから。ラグ部分を止めるネジ4つを外し、本体上下の4つ、ベゼル部の4つ計12個を外してからようやくアプローチできます。
IMG_0026
結構緑青が酷いですね、レベルソは3気圧防水なので日本のような亜熱帯気候だと相当気を使っていないとこのようになります、レベルソのような複雑なケース構造をもつものですと特にそうですね。

今回はなんとかネジは全部回りましたが固着して回らないものも数多くあります。
ネジの洗浄とケースの腐食部分を削りました。
IMG_0031
耐震装置つきのガンギ穴石や一番上下の人工ルビーの追加など手がかかっています。
IMG_0027
IMG_0030
曜日と日付(ポインターデイト)の機能、非常にシンプルにまとめてあります。
流石です。同じ機能でいかにシンプル且つ故障の少ない構造に仕上げるか…機械屋はこうでなくちゃ…。
さて、今日は機械の洗浄とエピラム処理をしたところでタイムアップです。

次回組立からロレックスサブマリーナの施工へ続きます。
それではまた!



こんばんはー、ただいま夜の22時半ですが雪降ってきましたねぇ。
明日までは引きずらないようなので営業には差し支えなさそうです。

さて、まずはセイコースピードタイマーの続きから
IMG_1357
再チェックすると一番ウケ穴がガタガタだったのでしっかり穴詰めを行いました。
あとは非常にシンプルな構造なので洗浄とエピラム処理をしてさくっと組み上げましたよ。
クロノグラフの動作も良好、歩度もなかなか安定しています。

で、お客様からもちこみの部品への交換作業です。
社外品ですが針とガラスとベゼルの交換です。
残念ながら針はサイズがあわず使えませんでしたが、ガラスとベゼルは交換できました。社外はサイズが微妙に合わなくて交換できないことが殆どです。シーマスターとかサブマリーナのベゼルなんかもそうですね。

IMG_1358

IMG_1359
交換前のベゼルもなかなか良い焼け具合だと思うんですけどね。
無事交換作業も終わりましたのでランニングテストしていきます。
あ、ついでに裏蓋リューズパッキンの交換もしてあります。プッシュボタン含め操作感良好です。

クオーツのムーブ交換を4つほどすませて
続いてIWCマーク15
IMG_1360
いつもの2892ですね。定期的なメンテナンスでお預かりです。
振りも十分出ている状態でした。摩耗をチェックしつつバラしていきます。
歯車のホゾ、ウケ穴の摩耗などもなく良い状態です。
IMG_1361
今日はばらしたところでタイムアップです。
雪が積もってなければ明日また会いましょう!それではー。

久々に当日更新わすれました…修理がうまくいかなくて酒をあおって爆睡してました…笑

というわけで昨日の修理の様子をお伝えします。
昨日は途中まで施工していた修理品の仕上げ作業がメインでした。
まずは仕上がり済の時計のケーシングから。コレ、結構めんどくさいんですよね笑

次に先日施工したウォルサムの懐中時計ですね。
IMG_0409
こちらはガンギ車のアガキが少ない状態だったので三か所あるネジ穴の1箇所、それのガンギ車のある方向に少し傷をつけてやりアガキを作成しました。
動作も順調になりました。精度も+1桁秒台に調整しさらに様子見です。
ケーシングはずいぶん先になりそうです、なんでかって?聞かないでください…。

次はグランドセイコークオーツ(8J56)
IMG_0485
私が目下一番嫌いなキャリバーですね。出来が悪すぎる…。
水入りとのことでお預かりでした。リューズから浸水らしくリューズ付近に水気とステップローターに錆が出ていました。
ベンジンによる洗い直しとステップローターの交換を済ませ、組んでいき動作を確認すると短針早送りに違和感がありました。途中でひっかかる感触ですね。
いやな予感がしてバラして見てみると、カサ車の下の短針早送りをつかさどる薄い歯車の歯が欠けていました…。うわぁ…。

ステップローターは8J共通なのでまだストックがありましたが、カレンダー回りは…ないだろうなぁ。
部品屋に問い合わせてあるかどうか、なければもうメーカー出ししかないですね。
苦労して組み上げてこれは萎えますナァ。

次は先日途中までやっていたロードマーベルですね。
IMG_0487
私の好きな絹目文字盤です、上品でいいですよね。
こちらはゼンマイ端の返しが剥離していたので、そちらの交換です。
合わせて香箱の爪を強くして無事巻きどまりができました。
あとはケーシングです。休み明けに風防を削ってケースに収めるサイズに調整する作業をします。
純正なのにそのままじゃ入らないってどういうことなんでしょうね。

休み明けは風防を削る作業から始めます。
今度こそ1570やりたいですね。
それではまた木曜日に~。






このページのトップヘ