三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

カテゴリ: ロンジン

こんばんは三井堂です。
ヴィーナス170の続きです。
3番車のホゾの曲がり、二番車の摩耗が顕著だったのでせっかくドナーがあるので交換しました。
一番芯の上下はしっかり穴を詰めてあります。

その他ヒゲ棒の調整などをおこないました。
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針つけまで行ってクロノの連続稼働チェックを行っていきます。
昨日は2時間くらいでクロノグラフ中間車とセンターホイールの歯がぶつかりとまっていたので、偏心ネジを調整しました。
とりあえずこれで終業までは動き続けていました。しばらくチェックを続けていきます。

つぎ!ロンジン手巻き(cal428)
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ゼンマイ合わせで部品屋にオーダーを出していましたが、ETA7001のゼンマイが適合するとのことでした。
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組み上げて振角290度、歩度+10秒弱で調整中。
こちらの時計も同じくメーカーに純正バンド交換を依頼したのですが、ラグの腐食とバネ棒の固着で対応不可で戻ってきてしまいました。
仕方ないので当店でバネ棒を壊して取り外し、少し変形したラグ部分を修正しました。
交換バンドは在庫から選んでもらうことになっています。

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途中で先日のティファニー角型手巻きの3番車を交換しました。
潰しの3番車は歯車部分は平ブレなどなく綺麗だったのですが、カナ部分が錆で汚かったのでカナ部分だけ交換しました。
稼働上はあまり影響しないと思いますが…。

つぎ!カルティエタンククオーツ
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歯車が2つしかない超シンプルなカルティエのクオーツ
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2針ですが一応秒針停止機構もついています。
裏蓋パッキンが硬化していて防水が効いていなかったせいで、少し地板に腐食が見られますが問題ない範囲です。
輪列の油はすっかり乾いていましたが、汚れはさほどひどくなかったです。
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今日は組みあげと針ツケまで行って終業でした。

明日はオーダーいただいているデイトジャストcal1570の仕上げ作業を行いたいです。






こんばんは三井堂です。
まずはロレックスエクスプローラー1(cal3130)から
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オートマユニットの外周部分が削れた後がありますが、すでにローター真は交換済のようでがたつきはありませんでした。
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ちらほら油切れの様子がありメンテナンスのタイミングとしては良かったと思います。
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一番芯のアガキが足りず、また一番芯の下部のメタルに対して軋みがある状態でした。
下部のメタルを穴石調整器で動かした後、軽くスムージングを行い抵抗感をなくしました。

あとは通常の分解掃除を行って振角290度、歩度+5秒程度で調整中です。

つぎ!ロンジン手巻きcal428
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バンド交換と分解掃除でお預かりです。
バンドは17-14㎜でオーストリッチがついていましたが、純正のバンドが良いとのことでメーカーに出して交換になりました。
50年くらい前のモデルで当然そのままのものはなく、サイズが一緒のマロンカラーのクロコベルトに交換、すごく良い色と質感ですがお値段は3万円ほどでした。

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スモールセコンドタイプの手巻きムーブメント
歯車は一見華奢ですが摩耗もあまりしない良い機械だと思います。
仕上げも往年のロンジンっぽい感じで良いです。
組み上げて振角290度、歩度+10秒切る程度で調整中。

ほとんど調整を要しない良い個体でした、もう1本同じキャリバー搭載の時計をお預かりしていますがこちらはゼンマイ取り寄せ中。
木曜日に施工したいです。

つぎ!ロレックスデイトジャストボーイズcal2135
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施工前の見積もり段階です。
既に分解掃除、ローター真交換、ゼンマイ交換は確定しています。
カレンダーがまったく動かない状態だったので、ツヅミあたりは確実に摩耗していると思います。
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カレンダーディスクを裏返したところ
カナの部分が厚み半分くらい削れてしまっています。
ここの摩耗+ツヅミ車の歯の摩耗でカレンダーが不動になっていました。

他2番車と3番車も摩耗して再利用不可ということで計4点追加で交換になりました。
お客さんにご了承いただいたので部品の手配を行いました。
納期が近くなったらまた施工予定です。

つぎ!ロレックスデイトナ手巻き
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施工前の見積もり。
cal727です。
12時間積算計のリセットが効かないということでそこの改善と分解掃除でお預かりです。
クロノ針のリセット不良の原因はいろいろありますが
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今回はかなり珍しいケースです。
歯車のホゾ部分と、リセットハンマーの当たるハートカム部分が分離していました。

貴重なキャリバーで市場に交換部品がないので修理して使うということになります。
一回カシメ直し+メタルロックでトライしてみます。
強度的に問題があれば新しく軸を作成してもっと強固にくっつける必要があります。
リセットテンションはそこまで強くなさそうなのでいけそうですが、少しやってみます。

つぎ!ヴィーナス170無名クロノ
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ツツカナが割れていて針ズレを起こしていた個体
ドナーがやっと届きました。
ドナーは下部画像、カナは割れもなく良さそうです。
部品を移植して針ズレが起こらないことが確認できました。

一安心でベースムーブメントを再度バラしていきます。
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縦2つ目のクロノで少しレイアウトが特殊です
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ガンギとアンクルを一挙に抑えるウケ、珍しいですね。
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他店で分解掃除したもののクロノの稼働時間が短いということでお預かりしていて、最初はクロノグラフホイールの噛み合いの調整が不十分だったのではないかというお話をしました。
ですが、これは単純にベースムーブメントの分解掃除があんまり良くないですね…。
一番芯上下と2番車のウケは目視できるレベルで摩耗があり、クロノ稼働以前に稼働状況もよくないと思います、。
色々チェックしていく必要がありそうです。

今日はバラシの途中までで終業でした、続きは木曜日からやっていきます。
それではまた!












こんばんは三井堂です。
まずはタグホイヤーカレラクロノ(ETA7750)
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非裏スケモデル
簡素な仕上げのETA7750です。
恐らく初の分解掃除で針が非常に硬く入っていました。
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久々の7750
所々鉄粉が出ていましたが致命的な摩耗はありませんでした。
一番芯のアガキの調整、ヒゲゼンマイの調整を行いました。
組み上げて振角280度、歩度+5秒で調整中。

クロノの機能も問題ありませんでしたが、針のハカマに緩みが生じていたのでかしめなおしてリセット時にずれないようにしてあります。

つぎ!ロンジン懐中時計
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先日分解掃除と針直しでお預かりしたものです。
既に針の曲がりは直してあります。
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機械は二番車とそれを受ける側にかなりの摩耗が見られます。
この手の懐中時計はどうしても二番が減ってきます。

段差がつくほどホゾが減っていたのでまずは段差をなくす意識で研磨
それに合わせてウケる側を穴詰めしました。
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かなり綺麗に穴を詰められたと思います。
調整した穴を綺麗にスムージングしなおしてエピラム処理をかけたところです。
その他ヒゲゼンマイの状態、他歯車など良い状態だと思います。

組み立ては休み明け木曜日に行います。それではまた!


こんにちは三井堂です。
まずはロンジンオートマ(ETA2892)から
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ロンジンのオートマETA2892ベースです。
振動数など変更されていない8振動のものです。
リューズ、巻き芯交換と分解掃除でお預かりです。

巻き芯が錆びて折れていたので防水性がキープされるように社外新品リューズに交換しました。
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コンビのケースで少し古めのものかと思いましたが割と新しめのモデルのようです。
ビックカメラに新品がうってました笑

内部は湿気の影響はないもののやや油切れが出ていました。
ゼンマイは取り出して洗浄していますが香箱は綺麗です。
分解掃除を終えて振角270度、歩度+5秒で調整中。

つぎ!オメガシーマスターオートマcal501
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cal550系の前身、少し厚みのある機械です。
香箱の上に大きな切替車が乗っているのが特徴。

スワンネック調整ネジ部に少し錆が出ているのが気になりますが一応回ります。
概ねコンディション良好な個体、2番を受ける地板が少し摩耗していたので調整を行っています。
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オートマ機構がかなり特徴的で、2年前くらいに一回施工したことがあった気がします。
バラしてから思い出しましたが…。
ウケがメタルなのですが摩耗などもなく手巻きの感覚も軽やかです。

分解掃除を行って振角歩度ともに良好です。
秒針のハカマ詰め、曲げなおしなどをおこなってケーシングまで済ませました。

つぎ!IWCcal8541B
上のオメガと同じお客さんからお預かりです。
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Cラインケースだったのでヨットクラブかと思ったら普通のモデルでした。
ネジなどもまったく痛みがなく綺麗な状態です。
防水が効いていませんが錆などは見られません。
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最終形で要所に人工ルビーが入っているので摩耗などもありませんでした。
珍しく一番芯のアガキも適切、ウケのメタルもほとんど焼けていませんでした。
念のためデイト早送り用の歯車を規制するバネを少し強めにセッティングしなおしてあります。
このバネが弱いと23時45分~0時の早送りで針がつっかかってしまうことがあります。

振角歩度ともに良好です。ケーシングまで行ってしばらくランニングテストを行います。

休み明け木曜日は既にバラシと外装研磨まで終わっているサブマリーナから
9Sオートマかオメガ861を施工の予定です、それではまた!




こんにちは、三井堂です。
まずはロンジン9L手巻きから
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巻きバリが出るとのことでお預かり
ギチ車の歯が磨耗していて巻きだしからすぐに空回る状態でした。
海外からムーブメントごと取り寄せて部品を移植しました。

一応これで巻きバリ自体は改善しましたがあまり機械も良い状態ではなく、部品の交換をしながら分解掃除です。
まずは欠けた一番芯の交換、錆びたヒゲゼンマイの交換
あわせてアンクルの調整、磨耗した歯車のスムージングを行いました。
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秒かな規制バネが文字盤側にある構造

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分解掃除を行って振り角230度程度、歩度は少しふらついていますが実用精度には収まる・・・かな
24時間以上の稼動は確認できたのでケーシングして精度調整していきます。

つぎ!セイコーロードマーベルハイビート(5740C)
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店売予定のものです。
10振動の手巻きモデル
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ハイビートなので磨耗対策にしっかりと人工ルビーが入っています。
ただし一番芯下部、香箱上側にはルビーがないので磨耗しやすくチェックが必要です。
この個体では一番芯下部に少し磨耗が見られたので調整しました。
分解掃除を行って振り角260度、歩度+5秒になりました。

ケースの研磨、裏蓋パッキン交換を行ったケースに収めてランニングテスト中。
一日経過して現在+5秒で稼動中、もうすこし動かしてインスタアップ予定です。

つぎ!ヴァシュロンコンスタンタンオーバーシーズ(cal1310)
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初代オーバーシーズ
1日に数分進むということでお預かりです。
ヒゲゼンマイのトラブルだと思いますが油も乾き始めていたので分解掃除です。
ヒゲゼンマイの消磁と付着した汚れ油の洗浄、ヒゲゼンマイが少し偏心しヒゲ同士が接触しやすくなっていたのであわせて調整を行いました。


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cal1310といってもベースはジラールペルゴのcal3000系
好きな機械ですが採用しているメーカーがほとんどないのが残念、あとはダニエルロートくらいですかね

例によって二番車がオフセットされた輪列、オフセットされた二番車に取り付けられたカナが文字盤側まで動力を伸ばし針を動かします。
今はもう改善されましたが、当時のGP3000はこの迂遠な輪列のせいで分針と秒針の同期に大体丸一分ほどかかります。
なので時間あわせのときは1分進めた状態にするとぴったり時間があいます。


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角穴車がネジ止めでなくなっていたり随所で改良の跡が見られました。
ちらほら油が乾いていましたが磨耗はしていませんでした。
分解掃除を行って振り角300度弱、歩度+5秒程度で調整中。

ケーシングをして現在ランニングテスト中、ヒゲトラブルが再発しないかチェックしていきます。

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