三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

カテゴリ: ゼニス

おはようございます、三井堂です。
先にヨットクラブのケーシングと精度調整から
ケーシングして最終的な振角は平置き250度、歩度は+8秒で調整中です。
スタッフの修理したものを最初にテスターで計測した際は振りが350度近かったのでかなり振りを落とせました。
ゼンマイの巻き上げ上限めいっぱいのスリップ直前の状態で振りが+30度で280度、そこから使用時の外乱を考慮しても振り当たりはしないと思います。
ヨットのデッキの上でブレイクダンスしても余裕だと思いますよ(?)

さて、つぎはゼニスエルプリメロ(cal400Z)
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久しぶり?のエルプリメロです。
キャリバーは400Z、400から少し改良されたものです。
分解掃除と中留バネ調整でお預かりです。中留修理と外装研磨防水検査などは既に終えているので早速中をやっていきます。

ぱっと目につくのは切替車から赤い鉄粉が出ています。
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エルプリメロの切替車のホゾは非常に細いので摩耗が心配でしたが、一応再利用できると判断して今回はこのままいきます。
メーカーでは耐久性に難アリの香箱と切替車は修理のたびに交換するというのは有名な話ですが、まぁそんなに頻繁にこわれるものではありませんから問題ありません。
ちなみに当店でも香箱切替車ともに手配可能で大体2~3万円程度だったと思います。

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こちらも問題の起きやすいカレンダー機構
デイトジャンパー用のバネは既に改良型の太いものに交換されていました。
裏抑え回りも少し油が切れていました。2枚歯構造でカレンダーの早送りと日の裏を動かすパーツのホゾも少し減っていました。
あれも不調になった場合調整では効かないのでしっかりチェックと注油をしていきます。

カレンダーの瞬間切替も微妙なバネの強弱で利かなくなったりしますがこの個体は調整不要でした。
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所々摩耗はあるもののすべて再利用できるレベルでした。
ちなみにピラーホイールを止めるネジを緩める際、見た目が少し膨らんでいて割れそうだな…と思いながらドライバーをあてがった瞬間に頭が割れてしまいました。
ほとんど亀裂がはいっていたものと思われますが…組み立ての工程上一番最後にネジ止めする箇所なのが幸いでした。
部品を手配した上で通常通りの分解掃除を行いました。
ネジが届き次第組み込んでクロノの動作チェック他文字盤針ツケなど行います。

明日は水入りのシチズンエクシードから施工していきます
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とりあえずは錆はでていませんでした。3気圧防水確認済です。
それではまた!




おはようございます三井堂です。
まずはグランドセイコー9S55
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9Sを積んだ初代機械式グランドセイコーです。
ウチでお買い上げいただいて3回目のOHです。今回は輪列ネジ外れからの不動でお持ち込みでしたが、OHも5年前で少し湿気も入っているようだったのでOHを提案しました。
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マジックレバー式のオートマ
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油は乾いていますが摩耗は殆ど見られませんでした。
一番芯のアガキが足りなかったのでウケのメタルを動かして、適切なアガキを確保しました。
OHを終えて振角270度程度、歩度+5秒で調整中、非常に調子が良いです。

防水検査を行いましたが裏蓋パッキンを交換しても10気圧で浸水する状態でした、追加検査を行うとガラス縁のシリコンパッキンから浸水しているようでした。
今回はベゼルも外していないので単純な劣化でしょうが本当にセイコーのシリコンパッキンはよくダメになります…。
注文して部品到着待ちです。

つぎ!ゼニスエルプリメロエスパーダcal4650
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エルプリメロからクロノグラフ機構を取り除いた三針モデル
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ローター、伝え車、切替車を外したところ
本来のエルプリメロを知っていると少し寂しい絵面です。
三番車を二枚歯にしてガンギと秒カナの動力の中継地点にしています。
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カレンダー機構も一緒です。
デイトジャスト部も無調整でしっかり機能してくれました。

部品の摩耗などはほぼなく通常の分解掃除でOKでした。
振角260~270度、歩度+3秒程度で調整中。
防水もOKでした。

つぎ!オメガシーマスターコーアクシャルcal8500
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ツインバレルのオートマ
精度不良でお預かりです。
各部の油はほとんど乾いている状態でした。
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概ね部品の状態は良かったんですが、アンクルの具合が良くないですね…。
アンクルの爪が3つついていて二層構造のガンギ車とかみ合うわけですが、爪が1個噛み合いが悪くたまーに歯が飛んでしまい精度が出ません。

休み明けにまたアンクルの調整を行いたいと思います…。
それではまた!








こんばんはー
三井堂です。
まずはゼニスエルプリメロ2カウンター(cal4002)から
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OHとゼンマイ交換、カレンダーバネ交換でお預かりです。
見ての通り派手に切替車から鉄粉が出ていますが…どうでしょうか。
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古いエルプリ特有のバネ折れです、対策部品に交換が必要です。
1970年ごろの自社ムーブによくあるロレックス以外のデイトジャスト機構は結構トラブル起きますね。
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バラバラ
切替車はしっかり切替が機能することとホゾが無事なので再利用することにしました。交換すると部品代2万円くらいです。
部品には全体的に痛みがあり一部の歯車はホゾの研磨を行って対処しました。
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アンクル手前まで組み上げて部品同士の動きに抵抗がないかチェック中。
三番車の磨きが不十分で軋みが生じたので改めてホゾを磨きなおし…

カレンダーもバネの交換のみで調整いらずで機能回復しました。
結構部品へたってましたがほぼ部品再利用でOKでした、なんやかんや丈夫な機械だと思います。
組み上げて振角250度程度、歩度+10秒で調整中です。

つぎ!ロレックスチェリーニ手巻きcal1600
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一昔前の手巻き
ゼンマイの返しが剥離してしまっているのでゼンマイ交換でお預かりです。
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ピアジェの0Pと似てますね、ウケのセパレーションが違いますけどほぼ一緒…?
設計がロレックスらしからぬ感じです。
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OHは2年半前です。
特に摩耗などもなし、さくっとゼンマイ交換を終えました。
振角280度程度、歩度は+15秒程度で調整中です。ややヒゲに磁気が入っていたので抜いてあります。

つぎはダニエルロート手巻き
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プゾー社の古い手巻きにインジケーターとムーンフェイズがついています。
製造はラジューペレ(旧ジャケ)
以前エポスに搭載された同ムーブメントを施工したことがあります。

今回はゼンマイが切れていたので合わせでいいゼンマイが見つかるか不安でしたが、奇跡的にETA7001が適合しました。
同じプゾーだし…と思って入れたらバッチリでした。
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取り急ぎバラシまで
1回仮組してるので部品特に問題ないです
休み明け月曜日から組んでいきます、それではまた!



おはようございます。
昨日の70オートマはヒゲゼンマイの動きがあまり良くなかったので午前中いっぱい使って調整を行いました。
動きも戻りまずまず精度も出ています。+15秒くらいで動いてくれれば御の字です。

つぎはゼニスオートマ(2542PC)
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結構アンティーク市場の荒れがちなゼニスですが、これはなかなか素性がよさそうです。
エリート以前のオートマキャリバーです。
ツツカナ調整とOHでお預かりです。
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カレンダー回りはモロにエルプリメロですね。
この手のカレンダーは日付変更タイミングでかなり針送りが重くなるので、通常よりはツツカナを軽めに調整しておく必要があります。
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ヒゲゼンマイとツツカナの調整を行ってから分解しました。
機械自体は一番芯上部ウケの磨耗があるくらいでかなり良いコンディションでした。
丸穴車にベアリングが内蔵されていたり、重厚な造りの切替車など良い機械だと思います。

組み上げて振角270度程度、歩度は+10秒切る程度で調整中。
置きまわりが起きないか確認してからケーシング予定です。

つぎはIWC手巻き(cal402)
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OHでお預かり。
85系からオートマ系をまるっと取り除いたものなので部品点数自体はかなり少ないです。
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秒カナ抑え下の二番ウケの磨耗が顕著だったのでこちらは調整してあります。
バネが邪魔で調整しづらいので前回施工でスルーしてあるようで、ここだけ摩耗のレベルが違いました。
まぁ変な仕事されてバネが変形するよりかは良いですが…。

一番芯の上下アガキを作って洗浄注油して振角260度程度、時間もないので精度調整は休み明け木曜日に回します。

休み明けはサブマリーナから施工予定です、それではまた!

おはようございます。
まずは61グランドセイコーハイビート
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10振動36000回転です。
香箱にdon't openと印字があります、そのたぐいの印字があるモデルは国内外に幾つかありますが、61に関しては蓋をキツくかしめてあるのでcan't openといった感じです。
メーカーでは香箱一式での交換前提の設計だったんでしょうが…50年後にメンテナンスする側としては部品もありませんので50年分の汚れを洗うために無理くりにでも開けるしかありません。

一番芯を中心に香箱の蓋もひどく歪んでしまうのでその後調整も必要になります。
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さて、その他部品の状態は2番のアガキがまったくない状態だったので適正なアガキを作りました。
それに伴って4番のアガキも作り直してあります。

組み上げて振角250度、姿勢差もなく良い状態です。しばらくランニングテストしていきます。

つぎ!
ゼニスエリート680
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ゼニスの自社ムーブメントエリートです。
1994年の開発当初ベストムーブメント賞をとったムーブメントです。ちなみに2位はGP3000です。

エルプリメロと比べるとカレンダー機構やオートマ機構に改良が見られます。
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8年前のOHで不動になってからお持ち込みです。
原因はテンプ上部の穴石外れです。ただしメンテナンスから長期間たっていることもありタイミングとしてはよかったと思います。
案の定ウケを外すと細かな鉄粉が散っていました。動作に影響を及ぼすほどの量ではないですが確実に部品の磨耗はしていると思いますので。
各部品をチェックしましたが幸い交換の必要なほど摩耗している部品はなく一安心です。
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裏抑えの下にカレンダー早送り車が内蔵していたりちょっと設計にクセがあります。
そこもマニュファクチュールらしさということで…。

組み上げて振角300度弱、歩度も安定しており申し分ないと思います。
カレンダーの動きを確認して針付けをおこないたいと思います。
それではまた!








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