三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

カテゴリ: ラドー

こんばんは
いったん修理を終えてテスト中の時計の調子が悪く再調整でした。
まずはエルプリメロ
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ゼンマイが切れていたのでゼンマイ交換を行ったのですが、香箱の歯の歪みに気づかず他部分の調整のみ行って組み上げたところ24時間程度で時計が止まってしまう症状が出ました。
再度部品をチェックしたところ、歯の歪みに気づきました。

本当はバラす時に気づけないとダメでしたね…二度手間になってしまいました。
新しい香箱に交換して組み上げて振角250度、歩度+10秒弱で調整中です。

つぎはオメガシーマスター
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手巻きに少しざらつきの感触がありましたが原因はオートマユニットの歯車の摩耗でした。
完全に摩耗していて再利用が難しいので部品手配の上交換予定です。
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とりあえずは洗浄とベース部分の組み立てまで行うことにしました。
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とりあえずはここまで、例の交換する歯車以外は特に摩耗などもなく概ね良い状態だったと思います。
部品入荷は火曜日なので到着しだいすぐ組み込みます。

つぎ!水入りラドーゴールデンホースオートマAS1789
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先日やったのとほぼ同モデルですね。
非防水ということはご存じでしたが外し忘れた水仕事をしてしまったとのこと
前回のOHも16年前でしたのでOHをお勧めしました。
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一番芯ウケに人工ルビーが入っています、プレートが薄く摩耗しやすそうなので良いアップデートですね。
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部品も摩耗らしい摩耗はなく良い状態です。
洗浄とエピラム処理だけ行って明日へ続きます。

明日はラドーオートマの続きからロイヤルオーククロノへ続きます、キャリバーはフレデリックピゲです。
ではまた!

こんばんは、三井堂です。
まずはセイコースカイライナーcal6110から
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セイコーの薄型普及機です。
他機とは設計のことなる薄型機の為、他キャリバーから部品の流用が利きづらく部品交換が出ると少し修理が大変です。
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前回修理でゼンマイの外端部に加工修理がなされていました。
本来のゼンマイ長より少し短くなっているため出来れば交換したいところですが…
汎用品の規格で合うものがないためとりあえずはこのままでいきます。

前回のOHから5年ほど経過しており一番芯下部の摩耗が少し見られました。
機械のコンディションに反してやはり振りが少し弱いですね…もうちょっとランニングテストしつつ一応ゼンマイ探してみます。

つぎはラドーゴールデンホースAS1700
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古いAS社のオートマムーブメント
精度不良ということでお預かりしたスタッフの再修理品です。
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ちょっと珍しい構造で、オートマ機構の伝え車が香箱下の歯車まで動力を伝えます。
香箱下にラチェットつきの歯車をセッティングすることで、オートマ機構の巻き上げとゼンマイリリース時の香箱の動きの切替を行っています。
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輪列の毛ゴミ、アンクル爪のごみ、ヒゲゼンマイの変形、ヒゲ棒の曲がり、ツツカナのカシメ具合
前回お預かり時に何をしてたのか甚だ疑問な状態ですが…
キッチリ調整させていただきました。ご迷惑をおかけしております…。

組み上げて振角250度、姿勢差もほぼ消し込めました。0~+2秒くらいで調整中です。
ついでに秒針ハカマのゆるみも修正してケーシングまで行いました、もう少し様子を見ます。

つぎはオメガスピードマスタープロフェショナル(cal861)
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リセットハンマーがクロノウケに乗り上げちゃってます。
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スタートストップの動きの起点になるオペレーティングレバーというパーツです
プッシャーに当たる部分のカシメが緩んでバカになっているので交換します。
強い力が加わるので一回緩むと交換しないとダメなんですよね。
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ケースにかなり錆が出ていたので非防水かと思いましたが裏パッキン交換で3気圧確保できました。
機械部分はほぼ摩耗なしでした、鉄粉が少し散っていたのでしっかり除去します。
ヒゲゼンマイの調整と分解掃除を行って振角270度、歩度+10秒程度で調整中です。
クロノグラフを常に使っていそうな気配がしたので(?)クロノ作動させたままランニングテスト中です。
通常時で45時間程度の稼働時間なので、クロノ作動時でも40時間程度は稼働し続けるかしっかりチェックしたいと思います。

明日は納期の近いものからやっていきます、それではまた。



こんばんは
まずはラドーのマンハッタンAS1859から
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角型ケースの渋い時計です。
裏抑え交換とOHでお預かりでしたが裏抑えのネジが緩んで裏抑えが浮いていただけでした。
3年前のOHの際に恐らく別作したものだと思いますが、少し分厚かったようなのでルビー砥石を使って少し仕上げなおしました。
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カレンダー回り、簡易デイトジャスト式です。油が乾くと不調になることがたまにありますが、デイトの切り替わりの音が小気味よいので好きです。
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片側巻き上げ式のオートマチックです。
片側巻き上げはローターが空転する反動で作動角までローターが動くので、僅かな腕の動きでゼンマイが巻き上がります。
つまりデスクワークの方向きの機構ですね。私も両側巻き上げだと全然巻き上がらないので片側巻き上げのオートマを使っています。
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セイコー56系と同じように二番車に取り付けられたマサツカナが文字盤側へ動力を伝えます。
部品の摩耗などは特になく、角穴駆動車の軸ウケメタルを研磨して洗浄くみ上げ。
振角は260度くらい振っていたと思います。日差+10秒くらいで調整中です。
ケーシングしてランニングテスト中です。

ちょこ仕事を挟みます。
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スタッフが修理した二階建てスピードマスター、止まったということでお持ち込みでしたがプッシャー軸が曲がって戻らなくなっていました。
社外プッシャーが使われていたので軸部分だけ交換しました。
バラしてみると文字盤の足を止めるネジがころりと出てきたので、不動の原因はここらへんでしょう。
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ゼンマイのスリップの具合が気になるので調整中ですが、ゼンマイの在庫が切れていたので小休止して入荷待ちです。

次は店売品のオメガスピードマスターデイト(ETA7750)
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不動の状態で入荷
輪列から動力を経由してクロノグラフホイールに動力を伝えるスイングピニオン、このホゾが折れていました。
クロノグラフを作動させなくても常に動いているパーツなので、ホゾの破損でうまく回らなくなり動かなくなったようです。
機械自体は非常に綺麗で摩耗なども殆どありませんでした。
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スイングピニオンも在庫がなかったのでここまで組んで後は部品入荷待ちです。
明日届いてくれると伏せ瓶が空いてスッキリするんですが…。

後はもう一点店売品をいじっていました
ヴィーナス188搭載のワックマンです。
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今日はOHまでしている時間はないので外装の下地仕上げです。
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ステンレスメッキの下地の真鍮が所々見えてしまっています。
このまま上からメッキをかけてもぼこぼこの仕上がりになってしまうので、サンドペーパーを使って腐食部分までケースを削っていきます。
ベゼルは風防の段差やケースのはめ込み部分を維持するために程々に、ミドルケースはかなりがっつり削りました。
バフカスをとるために超音波洗浄機に放り込んで今日は終業でした。
明日はロードマーベルハイビート、気分が乗ったらヴィーナスを施工予定です、それではまた!



こんばんは
まずはラドーマーストロンから
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電磁テンプ式です。音叉時計の一世代前です。
動力源は電池ですが調速はテンプで行うため精度は機械式時計と大差はないようです。
電磁石によってテンプを動かしてアンクル→ガンギ→輪列と動力を伝えていきます。
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比較的シンプルな構造です。油が乾いていても無理やり動いてしまうので天真が減っているケースがあるそうです。この個体は大丈夫でしたが地板含めしっかりエピラム処理を行いました。
組み上げて振角270度、歩度+10秒程度で調整中です。
面白い仕組みの時計でした、機械があれば音叉もやってみたいですねぇ。

つぎ!ロレックスエクスプローラー1 214270
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cal3132、パラクロムヒゲゼンマイに新しいショックバネが使われています。
各部の油はやや乾き気味でしたが摩耗などは見られず良い状態でした。
主ゼンマイはヘタりが見られたので交換しています。
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洗浄してからくみ上げて振角300度、歩度+5,6秒で調整中です。ケーシングしてランニングテスト中です。もうしばらく様子を見ていきます。
明日火曜日は同じお客さんからお預かりの10Pデイトジャストの施工予定です、機械は多分3135です。
それではまた!

こんばんは
まずはラドーのレディースオートマ(ETA2551)から
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女性の方で70年台のラドーをよく集めてるんだとか…シブすぎる…
搭載ムーブはETAの小径ムーブ
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ピントずれましたけどコハゼと丸穴が特徴的です。
水入りとのことでお預かりでしたが機械部分までは錆が出ておらず一安心。まだまだ部品は入ると思いますがオリジナルが一番ですからね。

ケースのねじこみ部分には結構しつこい錆が出ていたのでワイヤーブラシなどを使って綺麗に落としました。
ここの錆落としを適当にやるとケースを〆た後に錆粉が落ちるので…。

一番芯上下を詰めて分解掃除してくみ上げ。振角は250度程度と上々、ひげゼンマイもいい状態で+15秒くらいは精度が出てくれると思います。

つぎ、オメガコンステクオーツクロノ(cal1270)
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いわゆるメカニカルクオーツ
時計稼働部分は普通のクオーツでクロノグラフ部分は機械式と同じメカニズムを採用しています。
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こんなかんじ
機械はフレデリックピゲ社製cal1270 どうみてもオメガの作る機械とは毛色が違いますもんね。
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クロノグラフ輪列と時計輪列にはそれぞれコイルとステップローターがあります。
今回は時計稼働用のコイルが断線してしまっていたので手配の上交換となります。
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とりあえず洗浄して途中まで組んで部品待ちです、3,4日で届くらしいです。

つぎ!ロレックスEX1(cal3130)
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ゼンマイ交換とOHでお預かりのエクスプローラー1です。
3135のノンデイト版の3130が搭載されています。
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ゼンマイ切れによる歯車の破損や摩耗などはありませんでしたが、二番を受ける地板のメタルが油切れによる摩擦で変色していたので研磨剤を使って磨きました。
あとは部品に軽く帯磁していた程度で良い状態でした。

針の取り付けまで行ったので明日ケーシングして精度調整していきます。
それではまた!

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