三井堂時計修理にっき

船橋市の時計屋三井堂(http://www.mitsuido.com)での時計修理の様子をお届けします。    修理の依頼、相談は(ikezaki@mitsuido.com)まで。

カテゴリ: エベル

こんにちは、三井堂です
ようやく手元に抱えている修理品の数が落ち着いてきた気がします。
まずはエベルオートマクロノ(エルプリメロcal400)
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カレンダーが2枚飛ぶということでお預かりでしたがカレンダーの規制バネが非純正のものが入っていました。
下が純正品で複雑な形をしています。これが強さの調整などが本当に微妙なんですよね。
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先端部の微妙な凸部、これがカレンダー早送りの際にデイトジャスト用のレバーを背にして、反動をつけて切替トルクを強めます。
この凸部がないとカレンダーを2枚送ったりなんだかしゃっきりしない感触になります。
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これはデイトジャスト用のレバー、ヨークバネです。上は旧型の折れやすいもの、幸い折れてはいませんでしたが折れやすいので新型対策部品に交換します。
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機械部分は良好なコンディションでした。
現在ケーシング前のランニングテスト中です。

つぎ!セイコーダイバー8L35
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9Sとほぼ同設計のムーブ、例によって出荷前調整の具合が少し違うみたいです。
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マジックレバータイプのオートマ、油はやや乾き気味ですが非常に綺麗な状態です。
部品の摩耗もないようです。
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アンクル、ガンギもMEMSによって中抜き製造されており、動力伝達効率が改善されたムーブメントです。
火曜日は分解洗浄、アンクルまで組んで注油まで済ませたところで終業時間でした。
休み明け木曜日は8Lの続きからクオーツ2本、フレデリックピゲの調整、余裕があればアンティークの仕上げまで行きたいところ

それではまた!

こんばんは、
まずはERNEST BORELクロノ(バルジュー23)から
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泣く子も黙るバルジュー72から12時間積算計をオミットしたものになります。
構造としては非常にシンプルで分解しやすいです、さすがに名機。
基本的には普通のピラーホイールタイプのキャリングアーム方式ですがリセットハンマーを常にニュートラルポジションに戻すテンションがかかっているのが特徴ですねー。
(説明が下手なのでカタカナが多いです)

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油がまだちらほら残っている状態でしたが、使っているゼンマイが純正より弱い物が使われているらしくイマイチ振りが出ていなかったので、部品屋に問い合わせて互換性のあるゼンマイに交換しました。
オメガ861のゼンマイが適合するらしいです、万能ですな。セイコーの57ハイビートもこれでイケます。

あとは一番芯下部の磨耗修正、ヒゲを調整をして組み上げ。振角250度程度、歩度はこれから調整していきます。ちなみに店売予定です。


つぎ!エベル手巻き
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いまいち調子がよくないとのことでお預かりです。
チェックしつつバラしていくと、ヒゲゼンマイが帯磁しておりウケにぴったりくっついているような状態でした。
まずはヒゲの消磁をしてからヒゲの調整を先にすませました。
歯車のホゾに緑青をきれいに取り除き、一番芯下部ウケの磨耗を修正して組み上げました。
振角300度、歩度も+10秒程度に調整してあります。
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フュメ(煙)ダイヤル…いいですねぇ。
WG無垢ケースにおさめてランニングテスト行きです。

つぎ!セイコークロノスセルフデーター
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昨日やったクロノスは17石。それより4石多いモデル+カレンダーがついています。
プレート式の保油機構からダイヤフィックスに変更されています。ダイヤフィックスのほうが長期間安定して油を供給できるそうです。
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カレンダーは早送り機能がないので、送り車+位置決めレバーのシンプルな構造です。
ちなみにカレンダーモジュールごと外せるようになっており、メンテナンス性に優れた設計になっています。

サビがちょくちょく出ていたのでサビ取りと、ヒゲゼンマイの調整、摩耗箇所の修正、歯車の研磨をして組み上げ。
振角250度、歩度+10秒弱で調整してあります。店売予定の品なのでゆっくり調整していきます。
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カレンダー枠が青焼きなんですよね…何気に利かせた小技、いいですねぇ。
精度をきっちり仕上げて風防交換が済んだらHPで告知予定です。

そんなわけで今日は終業です、休み明け木曜はカルティエパシャ(GP3100搭載)から始める予定です。
それではまた!



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